見通せない幕引き=経営に打撃、悲痛な社員の訴えも―フジテレビ



元タレント中居正広さんの女性トラブルに端を発した、フジテレビを揺るがす激震は、港浩一社長と嘉納修治会長の引責辞任に発展した。港氏らは自らの責任を強調し、清水賢治新社長は「ゼロからスタート」と再出発を誓ったが、これで幕引きが図れるかは見通せない。

2023年6月の中居さんと女性とのトラブルが報道で表面化したのは昨年12月。2人の仲介にフジ社員が関わったとする内容だったことから、同社も問題の「当事者」になった。フジがトラブルを把握した後も中居さんの起用を続けたことも問題視されたが、最大の危機を招いたのは、港氏が社長として臨んだ今月17日の記者会見。メディアを新聞社や通信社などに限定し、フリー記者の参加やテレビ局などの映像取材は不可に。記者の多くの質問にも「回答を控える」と繰り返した。

これら一連の対応が批判を招き、会見の直後からスポンサー企業がCM放映を差し止める動きが加速。フジの報道によると、20日時点で75社に達し、今や主な番組のCMはACジャパンの公共広告が埋め尽くす。関西テレビ(大阪市)など系列局にも同様の影響が広がる事態になっている。

同社が否定する、中居さんのトラブルへの社員の関与についても、第三者委員会による調査結果がまとまるのは3月末ごろの予定。それまでは、一度離れたスポンサーが戻ってくる見込みが立たず、当面、広告収入の減少が経営に打撃を与えることは避けられない。

23日に開かれた社員説明会では、1月に始まったドラマで、撮影に全面協力する相手から協力中止の可能性を通告されるなど、「1分1秒のペースで悪影響が及んでいる」といった悲痛な社員の訴えが相次いだ。

同社は27日、幅広いメディアの記者が出席し、時間も制限しない形で改めて仕切り直しの会見を開催した。しかし、今もフジテレビの経営に強い影響力を持つとされ、責任を問う声もある日枝久相談役(フジサンケイグループ代表)は会見に姿を見せなかった。なお火種はくすぶっている。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見に臨むフジテレビの(左から)遠藤龍之介副会長、港浩一社長、嘉納修治会長、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長=27日午後、東京都港区

2025年01月28日 07時03分


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