【バンコク時事】ミャンマー中部を震源とする大地震は、28日で発生から1カ月。家屋倒壊や余震のため、過酷な環境の屋外で避難生活を続ける被災者も多い。感染症の拡大防止やがれき撤去も課題となる中、地震前に激化した国軍と抵抗勢力の内戦が被災地支援に影を落としている。
3月28日の地震は、第2の都市マンダレーや北部ザガイン地域などに甚大な被害をもたらした。2021年のクーデターで実権を握った国軍によると、死者は3700人以上、負傷者は5100人以上が確認され、倒壊・損壊した家屋は約6万5000棟に上る。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、被災地の約630万人が支援を必要としていると指摘。自宅に戻れない被災者が多数いることを踏まえ「本格的な雨期が始まる前に、仮設避難所を設置する必要性が高い」と強調した。
被災地では日中の気温が連日40度近くになるほか、激しい雨が降る日もあり、衛生環境の悪化による感染症拡大が懸念されている。余震も起きており、米地質調査所(USGS)は数カ月間続く可能性があると予想している。
倒壊・損壊した建物の撤去や解体も課題だ。国連開発計画(UNDP)は、少なくともトラック12万5000台分に相当する250万トンのがれきを除去する必要があると報告したが、UNHCRは「財政的な制約」から難航する恐れがあると指摘する。
抵抗勢力の民主派が一部を支配するザガイン地域では、国軍が空爆を加えるなど地震後も戦闘が続く。国軍が民主派支配地域への支援を制限しているという情報もある。UNDPは「地震による道路などインフラの損傷に加え、空爆が支援を妨げかねない」と懸念を示している。
【時事通信社】
〔写真説明〕ミャンマーでの大地震後、屋外で避難生活を続ける被災者=25日、中部マンダレー地域
2025年04月28日 13時00分