【台北時事】台湾の頼清徳総統は就任から1年に当たる20日、総統府で記者会見した。頼氏は冒頭に発表した談話で、対立する最大野党国民党などに「団結」を訴え、「重要な安全保障情勢」に関する情報を野党トップに報告する方針を表明した。台湾への威圧を強める中国の動向を伝え、危機感を共有する狙いだ。
頼氏は「与野党対話の促進に努力し、政党協力を強化する」と強調。野党トップへの報告に向け、政権の安全保障担当者らに具体的内容を検討するよう指示したと明らかにした。その上で「同一の事実に基づき率直に意見交換し、各種の挑戦に共に向き合うよう望む」と野党側に呼び掛けた。
立法院(国会)は与党民進党が過半数に届かず、対中融和的な国民党が他党と組んで多数派を形成。国民党などは防衛費を含む今年の予算の一部を削減・凍結した。頼氏は防衛費の域内総生産(GDP)比を現行の2.5%から3%以上に高める方針を掲げており、実現のため野党の協力を促した形だ。
国民党の朱立倫主席(党首)は20日、「与野党が共に挑戦に向き合うよう希望する」と前向きなコメントを発表。安全保障を巡る「超党派のメカニズム」を設けるよう提案した。
【時事通信社】
〔写真説明〕20日、台北市にある台湾総統府で記者会見する頼清徳総統(総統府提供・時事)
2025年05月21日 12時37分