【ニューヨーク時事】トランプ米政権は22日、名門私大ハーバード大に対し、外国人留学生の受け入れ資格を剥奪すると通知した。72時間以内に政権側の要求に従わなければ新規入学を認めず、在学生は転校しない限り在留資格を失うとしている。
トランプ政権は、ハーバード大など一部の大学が左傾化し、反ユダヤ主義を助長していると主張。4月には学術プログラムの見直しを拒んだなどとして、同大への補助金20億ドル(約2900億円)以上を凍結した。今回、留学生からの授業料という同大にとって重要な収入源の一つを断ち切ることで、さらなる圧力をかけた形だ。
ハーバード大のウェブサイトによると、今年度在籍している留学生は学生全体の約3割に当たる約6800人。日本人もおよそ100人いる。林芳正官房長官は23日の記者会見で「日本人学生への影響を抑えるべく、米側に働き掛けるなど、必要な対応を行っていく」と述べた。
ノーム国土安全保障長官は、ハーバード大に宛てた書簡で「留学生の受け入れは特権であり、省の要求に従わなければならない」と指摘。キャンパスでの抗議活動に参加したり、暴力や違法行為に関与したりした留学生について、過去5年分の情報を提供するよう求めた。
これに対し、ハーバード大は「大学の多様性と豊かさを支える140カ国以上からの外国人学生と研究者の受け入れを継続するため、全力で取り組む」と強調。「この報復はハーバード大のコミュニティーとわが国に深刻な損害をもたらす脅威だ」と批判した。
同大は既に補助金凍結の無効を求めて連邦地裁に提訴している。留学生の受け入れ資格剥奪に関しても、法廷闘争に持ち込むとみられる。
ノーム氏は22日、米メディアで「これは全ての大学への警告だ」と強調。政権の意に沿わなければ、他の大学にも留学生受け入れ禁止を広げる可能性を示唆した。
【時事通信社】
〔写真説明〕米ハーバード大=2024年1月、東部マサチューセッツ州ケンブリッジ(EPA時事)
〔写真説明〕ノーム米国土安全保障長官=21日、東部コネティカット州ニューロンドン(AFP時事)
2025年05月23日 18時03分