米、カタールから豪華機受領=大統領専用機に改修、批判も



【ワシントン時事】米国防総省は21日、カタール王室から豪華ジェット機を正式に受領したと発表した。改修した上で、トランプ米大統領が専用機「エアフォースワン」として使用する。寄贈を巡っては倫理的にも保安上も問題があるとの批判が出ているほか、多額の改修費用も見込まれている。

寄贈されたのは米ボーイング747型機で、特別仕様の豪華な内装。約4億ドル(約570億円)相当とされ、「空飛ぶ宮殿」とも、南部フロリダ州にあるトランプ氏の私邸マールアラーゴにちなんで「カタールアラーゴ」とも呼ばれる。

寄贈が今月明らかになってから、外国からの賄賂に当たる可能性が指摘されてきた。これに対しトランプ氏は、個人ではなく国家への贈与との見方を示し、「断るのは愚かだ」と主張。ベセント財務長官もCNNテレビで「フランスは自由の女神像をくれたが、何かを(見返りに)要求したとは思わない」と擁護した。

現在の大統領専用機も747型機で、1990年から使用している。老朽化を受けて米政府は新たに2機を発注したが、ボーイングからの納入が遅れ、トランプ氏が不満を募らせていた。トランプ氏は新しい機体納入までは豪華機を使い、退任後は自らの図書館に移管する計画だ。

しかし、専用機に改修するには盗聴器がないかを機体を分解して調べるほか、通信の安全性強化や空中給油機能の追加なども必要。NBCテレビは、こうした改修に10億ドル(約1400億円)以上の追加費用と数年の時間がかかると報じた。2029年までのトランプ氏の任期中に間に合わない可能性もあるという。

野党民主党は「史上最も腐敗した政権だ」(アダム・スミス下院議員)などと非難。与党の共和党からも懸念の声が上がっている。トランプ政権1期目に仕えたボルトン元大統領補佐官(国家安全保障担当)は、ワシントンでの講演で「米国もカタールも評判を落としただけ。この一件の全てが不要だった」と批判している。

【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ米大統領が2月15日に視察したカタール所有のボーイング747型機=米フロリダ州パームビーチ(AFP時事)

2025年05月22日 18時04分


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