【ソウル時事】韓国の革新系政党「共に民主党」の李在明氏(60)が4日、第21代大統領に就任した。大統領府で記者会見した李氏は日韓の懸案だった元徴用工訴訟問題を巡って「国家間の関係は政策の一貫性が特に重要だ」と言及。尹錫悦政権が発表した解決策の大枠を引き継ぐ姿勢を明らかにした。
解決策は被告の日本企業の賠償金を韓国政府傘下の財団が肩代わりする形で、日韓関係改善の契機となった。新政権の対応が注目されていた。
李氏は日韓の歴史問題に関し「個人的な信念だけを一方的に強要したり、貫徹したりすることは容易ではないのが現実だ」と述べ、外交の前面に出さない意向を示唆。歴史や領土の問題が存在しても「(日韓)両国は多様な面で共通の利害を持つ」と訴え、経済や安全保障、技術、文化交流の分野で双方の利益になる協力を呼び掛けた。
3年ぶりの保守系から革新系への政権交代で、任期は5年。李氏は会見に先立つ就任式で「国民を大きく統合し、全ての国民に仕える大統領になる」と演説し、社会の分断の解消を誓った。堅固な米韓同盟を土台に、日米韓協力を強固にすると表明した。
李氏は演説で「周辺国との関係も国益と実用の観点でアプローチする」と語り、中国やロシアとも一定の関係を構築したい意向を示した。北朝鮮を巡っては「韓米軍事同盟で核と挑発に備えつつ対話と協力を通じて朝鮮半島の平和を構築する」と明らかにした。
【時事通信社】
〔写真説明〕4日、ソウルの韓国大統領府で記者会見する李在明大統領
2025年06月05日 07時31分