「石破降ろし」決着見えず=自民両院総会、8月8日軸に調整



自民党は30日、参院選惨敗を受けた両院議員総会の日程について、8月8日を軸に調整に入った。石破茂首相(党総裁)は続投への理解を重ねて訴える構えだが、「石破降ろし」の収束は見えない。ただ「反石破」側も決め手は欠いたままだ。党内の混乱は長引くとの見方が広がっている。

衆院議院運営委員会は30日、8月1日召集の臨時国会の会期を5日までとすることを決定。自民党幹部は8日の総会開催を検討していると明らかにした。

総会は、28日に開かれた両院議員懇談会と違い、党則に基づく正式な意思決定機関。旧茂木派などが首相への退陣圧力を強め、総会開催を求める署名集めを進める中、執行部が「押し切られた」格好になるのを避けようと自発的に開催を決めた。31日には参院選敗北の総括委員会の初会合を開く予定で、倒閣運動の沈静化を図りたい考えだ。

総会の議題設定を巡っても駆け引きが繰り広げられている。署名集めを主導する笹川博義農林水産副大臣らは29日、有村治子両院議員総会長に「退陣含みの議題にしてほしい」と要望した。高市早苗前経済安全保障担当相に近い旧安倍派議員も有村氏に「総裁選の前倒し」をテーマに含めるよう働き掛け、「1回で勝負を決める」と息巻いた。

これに対し森山裕幹事長らは、党則6条に総裁任期中でも総裁選を前倒しする「リコール」規定があることを踏まえ、総会は「総裁の身分に関する決定はできない」との立場。あくまでも参院選敗北と党再建に関する意見交換の場と位置付ける。続投姿勢を崩さない首相に、旧安倍派幹部は「まずは総会をやってみてからだ」と持久戦も見据える。

総会でも進退の方向性が定まらない場合、総裁選前倒しを巡る攻防に焦点が移りそうだ。「リコール」実現には党所属国会議員と都道府県連代表(各1人)の過半数の要求が必要で、ハードルが高い。旧安倍、旧茂木両派が中心の倒閣運動に、中間派の議員は「積極的には加わりたくない」(旧岸田派中堅)と距離を置く。

首相に批判的な麻生太郎最高顧問ら有力者も展望は描き切れていない。「辞めさせるのは簡単じゃねえんだ」。麻生氏は最近、周辺にこう語った。「石破降ろし」の決定打が見えない現状に、旧安倍派中堅は「もっと有力者が表で動いてくれないと駄目だ」といら立ちを見せた。

【時事通信社】 〔写真説明〕首相官邸に入る石破茂首相=30日、東京・永田町

2025年07月31日 07時03分


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