政府・与党内で、物価高対策を盛り込んだ経済対策の策定を石破茂首相(自民党総裁)が5日にも指示する案が出ている。総裁選が前倒しされるか決まる8日を前に、続投への意欲をアピールする狙いがあるようだ。ただ、森山裕幹事長ら党四役がそろって辞意を表明。財源の裏付けとなる2025年度補正予算案の成立も見通せない状況で、関係者から戸惑いの声も漏れる。
「物価高に苦しむ方々に早く応えなければならない」。首相は退陣要求が相次いだ2日の党両院議員総会後、記者団にこう強調。「しかるべき時期」まで続投を目指す理由の一つに挙げた。
同日夜には公明党の斉藤鉄夫代表と会談し、経済対策を策定する方針を確認。公明は参院選の公約に掲げた現金給付実現への期待が強い。
ただ、首相が続投できるかは一層不透明になっている。3日には党内に一定の影響力を持つ麻生太郎最高顧問が、前倒しを要求する考えを表明。反石破派の動きは勢いづいた。
そもそも、与党は参院選で大敗して衆参共に過半数を失った。秋に想定される臨時国会で補正予算案を成立させるには野党の協力が不可欠だが、野党との協議を担うべき自民の小野寺五典政調会長も、既に首相へ辞意を伝えている。
こうした状況を踏まえ、首相官邸関係者は「党四役が辞めると言っているのにどうやって策定するのか。私たちが知ったことではない」と漏らす。財務省幹部は「指示を受ける幹部がいるのか」と突き放した。
自民の閣僚経験者は「首相の続投したいというただの意思表示だ。野党もこの政権には協力しない」と冷ややかに語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸に入る石破茂首相=4日午前、東京・永田町
2025年09月05日 07時02分