小泉氏、「刷新」へ踏み込み=参院の動向も焦点―自民総裁選前倒し



自民党総裁選の前倒しを巡る駆け引きが激しくなる中、小泉進次郎農林水産相が体制の刷新を求める姿勢を見せ始めた。「石破降ろし」に距離を置いてきたが、最近になって「解党的出直し」に言及。石破茂首相は発言の変化に神経をとがらせる。静かに様子をうかがう参院議員団の動向も情勢を左右しそうだ。

小泉氏は4日、農水省で記者団の取材に応じ、「『解党的出直し』という言葉は、ゼロからやり直すと(いう意味に)取るのが必然のことだ」と強調。「政争に明け暮れている暇はない」と早期の事態収拾を訴えた。首相支持側が発信する衆院解散論にも否定的な見解を示した。

「解党的出直し」は2日の両院議員総会に報告された参院選総括文書に明記された。小泉氏は3日、これと森山裕幹事長ら党四役の辞意表明に触れ、「非常に重い」と記者団に指摘。「その通りの行動をしなければいけない」と踏み込んだ。

非主流派を中心に広がった「石破降ろし」に対し、小泉氏は「世論は冷ややかだ」「石破内閣の一員として職責を全うしたい」と語っていた。

変化の兆しがあったのは8月下旬。総裁選前倒しの是非に関し、「一議員としてしっかり対応を考えたい」と表明した。現職の副大臣らが臨時総裁選の実施を求めることをけん制する発言が首相周辺から上がると、「危機感の表明は議員としてあるべき姿だ」と擁護した。

首相との距離がにじむ小泉氏の姿勢について、党関係者は「党内情勢や世論を見ながら変えている。前倒しに賛成すれば、一気に流れが決まる」とみる。

首相は3日夜、側近の岩屋毅外相、中谷元・防衛相、赤沢亮正経済再生担当相と首相公邸で会談した。今後の対応を協議したとみられる。周辺には「小泉氏の発言が揺れている」と漏らした。

総裁選絡みの動きは活発化しているが、中心は衆院議員で、これまで参院議員は目立っていない。衆院のベテランは「参院サイドの動向が分からない」と話し、参院議員団に影響力を持つ石井準一参院国対委員長が「静観」を指示しているためだとの見方を示した。

ただ、旧安倍派などグループごとの動きは水面下で進んでいるもよう。閣僚経験者は「参院側が動けば国会議員の半数を超える」と語る。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者団の取材に応じる小泉進次郎農林水産相=4日午後、同省

2025年09月05日 07時03分


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