大野元参院議員ら無罪主張=5100万円不記載で初公判―自民派閥裏金事件・東京地裁



自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件で、約5100万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた元参院議員大野泰正(66)、元政策秘書岩田佳子(62)両被告の初公判が10日、東京地裁(福家康史裁判長)であった。両被告はいずれも無罪を主張した。

大野被告は罪状認否に先立ち、「国民に多大な政治不信を招き、深くおわび申し上げます」と陳謝。その上で「虚偽記載の共謀は一切ない。道義的責任はあるが、犯罪を犯したことはありません」と起訴内容を否認した。

岩田被告も「(派閥からの)寄付と認識していない。共謀もしていない」と訴えた。

一連の事件では、これまでに国会議員4人を含む計12人が立件された。起訴された議員本人の公判は初めて。大野被告が問われた不記載額は議員側で最多となる。

検察側は冒頭陳述で、大野被告らが2014年以降、ノルマを超えたパーティー券収入の還流について「資金管理団体への寄付金で、収支報告書に記載すべきものと認識した上で、派閥の意向を踏まえ、虚偽の記載をすることを決定した」と主張。還流分は現金で受け取り、大野被告の飲食費やクレジットカードの支払い、事務所の経費に充てられたとした。

弁護側も冒頭陳述を行い、派閥から受け取った現金について「事務所の政策顧問に相談した上で、派閥に返却する『預かり金』と理解していた」と反論。大野被告は収支報告書を確認しておらず、「すべて秘書たちが適正に処理してくれていると思っていた」と述べた。

起訴状によると、2人は大野被告が代表を務めていた資金管理団体「泰士会」の18~22年分の収支報告書に、最大派閥だった「清和政策研究会」(旧安倍派)からの還流分計約5100万円を記載しなかったとされる。

大野被告は24年1月に在宅起訴され、自民党を離党。今年7月の参院選には出馬しなかった。

議員側では大野被告のほか、元衆院議員池田佳隆被告(59)と元政策秘書が計約4800万円の不記載で逮捕、起訴された。初公判の期日は決まっていない。

派閥側では、旧安倍派と「志帥会」(旧二階派)それぞれの元会計責任者に一審で執行猶予付き有罪判決が出され、確定した。

【時事通信社】 〔写真説明〕大野泰正元参院議員 〔写真説明〕初公判に出廷した元参院議員大野泰正被告(右から2人目)と元政策秘書岩田佳子被告(右端)=10日、東京地裁(イラスト・日下部亜留斗氏) 〔写真説明〕自民党派閥裏金事件で、元参院議員大野泰正被告の初公判が開かれた東京地裁の法廷。中央は福家康史裁判長=10日午後、東京都千代田区(代表撮影)

2025年09月10日 19時49分


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