大阪・関西万博では、環境への配慮や持続可能な社会の実現が主要テーマの一つとなっている。その一環で、10月13日の閉幕後を見据え、日本国際博覧会協会は自治体や企業などに対し、パビリオンそのものや、エアコン、照明器具、トイレなどの設備を再利用するよう呼び掛けている。万博終了後も廃棄されることなく、それぞれの地域で受け継がれることに期待を寄せる。
パビリオンや設備は6カ月間の万博会期が終われば解体・撤去されるのが原則。協会は2024年8月、大量の廃棄物を減らすため、マッチングサイト「ミャク市(いち)!」を開設した。現在、著名人が手掛けた「テーマ館」の一部と、建材・設備100件以上が出品されている。購入を希望する自治体や企業、団体が協会側に目的などを伝え、関係者が協議した上で落札者が決まる。
広島県福山市はテーマ館の一つ、音楽家の中島さち子さんによる、クラゲを模した屋根が印象的な「いのちの遊び場クラゲ館」の誘致を目指す。同市は29年度、最新の科学技術を体験できる子ども向け施設を開館する予定で、この施設に隣接してクラゲ館を移設したい考えだ。
市担当者は「科学や音楽や芸術などを横断的に学ぶクラゲ館の理念と親和性があり、リユースの観点からも誘致を決めた」と力を込める。
大阪府が購入を検討するのは、若手建築家のデザインで契約料が2億円に上ったことが批判されたトイレの一部。吉村洋文知事は今月10日の記者会見で、府内の植物園に移設する計画を明らかにした上で「芸術性も高くて面白いトイレだ。万博のレガシー(遺産)として楽しんでほしい」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕大阪・関西万博の閉幕後、広島県福山市が移設を目指す「いのちの遊び場クラゲ館」=11日午後、大阪市此花区
2025年09月13日 14時35分