高齢者が電動車いすや電動アシスト自転車などで転倒する事故が後を絶たない。製品評価技術基盤機構(NITE)は、15日の敬老の日を前に、家族や介護従事者らと一緒に使い方を再確認するよう呼び掛けている。
NITEによると、2015~24年度に起きた65歳以上の電動車いすの事故は56件。22年9月には、長野県の90代男性が運転操作を誤り、柵のない駐車場から約3メートル下の畑に転落して死亡した。転倒防止機能を使用せずに転倒し、負傷した例もあった。
電動アシスト自転車の事故は146件発生し、うち122件(84%)が重傷だった。加齢で骨がもろくなっていたり、反応速度やバランス感覚が低下し受け身が取れなかったりすることが原因という。ハンドルやペダルの緩みを点検し、アシスト機能を過信せずに使用するよう求めている。
歩行車などの事故情報も21件寄せられた。東京都の90代男性は20年11月、坂道で歩行車のバランスを崩して転倒し、重傷を負った。男性はケアマネジャーらから車いすの利用を勧められていたといい、歩行能力が不十分だったとみられる。
こうした事故を防ぐため、利用する道路を家族と一緒に確認し、車輪が挟まりやすい踏切や横断に時間がかかる広い道路、急な坂道などは避けるべきだと指摘。外出前には、バッテリーの残量やブレーキの利き具合などをチェックすることも必要という。
NITEの担当者は「家族で安全を見直し、安心をプレゼントしてほしい」と話している。
【時事通信社】
〔写真説明〕踏切で脱輪する電動車いす(NITE提供)
2025年09月13日 14時34分