高市早苗首相が就任後初めて行う所信表明演説の原案が22日、判明した。国民の所得増に向け「『責任ある積極財政』の考えの下、戦略的に財政出動を行う」と主張。「給付付き税額控除」の制度設計を含め、税と社会保障の一体改革を議論するため「超党派で有識者も交えた国民会議」の設置を提唱する。演説は24日実施で与野党が調整している。
21日の記者会見で改定に意欲を示した安全保障関連3文書については、来年末のとりまとめを目指す方針を説明。防衛費と関連経費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%とする現行の目標は、今年度に前倒しして措置すると述べる方向だ。
財政政策に関し「この内閣では『経済あっての財政』の考え方を基本とする」と宣言。人工知能(AI)や半導体といった先端技術産業に積極投資しつつ、さらなる経済成長に向けた「日本成長戦略会議」の設置を打ち出す。GDPに対する政府債務残高の比率を引き下げることで「マーケットの信認を確保する」との考えを示す。
外国人政策については「一部の外国人による違法行為に国民が不安を感じているのは事実」と指摘。「排外主義とは一線を画しつつも、土地取得ルールの在り方についても検討を進める」とアピールする。
連立政権入りした日本維新の会が掲げる「副首都」構想に関し、「首都および副首都の責務と機能に関する検討を急ぐ」と強調。物価高対策が「最優先」だとし、衆参共に少数与党という状況を踏まえ「国民の暮らしを守る経済対策、(2025年度)補正予算となるよう知恵を結集しよう」と野党に呼び掛ける。
米関税措置に対しては、中小企業向けの資金繰り支援などを用意し「影響の緩和に万全を期す」と表明する。中国を「重要な隣国」と位置付けつつ、「安全保障、経済安保上の懸念事項が存在する」と指摘。首脳同士の対話による「戦略的互恵関係」の包括的推進を求める。
【時事通信社】
〔写真説明〕高市早苗首相=21日、首相官邸(AFP時事)
2025年10月22日 21時15分