高成長、AIブーム追い風=雇用は減速、先行き不透明―米



【ワシントン時事】米経済が、高成長を維持している。人工知能(AI)関連の投資ブームが続き、株価も高値圏を推移する。一方で、雇用の伸びは失速。政府機関の一部閉鎖の影響があるほか、ブームの先行きも不透明で、経済情勢は「読みにくい」(前米連邦準備制度理事会=FRB=高官)状況だ。

議会与野党の対立で予算成立のめどが立たず、今月初めからの政府閉鎖で、一部の指標は発表が遅れている。ただ、入手可能な指標に基づきアトランタ連邦準備銀行が算出する国内総生産(GDP)伸び率の推計「GDPナウ」では、17日時点で7~9月期の成長率は年率換算で前期比3.9%と、極めて高い伸びが予測された。

背景の一つとされるのが、旺盛なAI関連投資だ。リッチモンド連邦準備銀行のリポートによると、データの蓄積や処理を担うデータセンターへの投資額は今年半ば時点で、対話型生成AIサービス「チャットGPT」が登場した2022年末と比べ3倍近くに急増。ITバブルに沸いた1990年代後半の通信設備投資をはるかに上回るペースという。

一方、雇用情勢は芳しくない。9月の雇用統計は政府閉鎖で発表されていないが、有力な代替指標とされる米民間雇用サービス会社ADPによる同月の全米雇用報告は前月比3万2000人減と、2カ月連続で減少を記録。「雇用は既に縮小している可能性がある」(ウォラーFRB理事)との見方も浮上する。

さらに、政府閉鎖の長期化や、一部地銀での想定外の損失を巡る不透明感など、労働市場以外にも好調経済に「死角」はある。AIブームの「熱狂」(ゲオルギエワ国際通貨基金=IMF=専務理事)もいつまで続くか分からない。

雇用下振れリスクの増大を受け、FRBが今月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で2会合連続の0.25%利下げを決めるとの見方が大勢だ。しかし、セントルイス連銀のムサレム総裁は17日、ワシントン市内のイベントで、堅調な景気などを踏まえ「さらなる金融緩和余地は限られている」と言明。行き過ぎた利下げ期待にくぎを刺した。

【時事通信社】 〔写真説明〕パソコン画面に表示された「AI」の文字(AFP時事)

2025年10月19日 07時13分


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