物価高、成長投資に重点=総合経済対策の策定開始―高市新政権



高市早苗政権は、物価高対策を講じつつ、官民連携での積極投資による「強い経済の実現」を目指す。首相が21日の初閣議で策定を指示した総合経済対策には、(1)生活の安全保障・物価高への対応(2)危機管理投資・成長投資(3)防衛力と外交力の強化―を3本柱に据えた。対策の裏付けとなる2025年度補正予算案を12月上旬をめどに臨時国会に提出し、年内成立を目指す。

高市氏は21日の就任会見で、「最優先事項は物価高への対応だ」と強調。即効性のある対策として、ガソリン・軽油の暫定税率を廃止するほか、電気・ガス料金の補助も再開する。自治体向け交付金の拡充を通じ、病院・介護分野の経営改善や職員の処遇改善、賃上げ促進税制を活用できない赤字企業の支援などに対応。コメ高騰対策としてクーポン券の配布も検討する考えだ。

連立を組む日本維新の会との合意に基づき、高校授業料と給食費の無償化も来年4月の実施に向けて検討を進める。高市氏は、中長期の対策として、所得税の課税最低ライン「年収の壁」を物価上昇に応じて見直す制度を「年末をめどに取りまとめる」と明言した。給付付き税額控除は「少し準備に時間がかかる」と説明した。

成長戦略では、人工知能(AI)や半導体、造船など戦略分野の官民連携投資と重要物資のサプライチェーン(供給網)の強化を進める。農林水産業の構造転換や、先端科学技術などへの投資拡大も推し進める方針で、片山さつき財務相は22日の記者会見で「(予算を)付けるべきところには財政うんぬんを言わずにがっちり付けて経済を大きくしていく」との姿勢を示した。

コロナ禍以降は一般会計総額で10兆円を超える巨額の補正予算が常態化しており、24年度補正は13.9兆円に上った。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「(今回も)15兆~20兆円規模になるのではないか」と予測する。片山氏は「目的を達するに十分な規模が必要だ」と強調した。

【時事通信社】

2025年10月23日 08時03分

administration


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース