
自民党は高市政権の発足を受け、連立を組む日本維新の会との政策調整の仕組みづくりを急ぐ。幹事長と国対委員長による定例協議の開催を提案した。「閣外協力」にとどめる維新がどこまで政権与党としての責任を果たすのか、自民から不安視する声も出ている。
自民の鈴木俊一幹事長は23日、維新の中司宏幹事長と国会内で会談し、幹事長と国対委員長が国会会期中に毎週集まる「2幹2国」(にかんにこく)を行いたいと提案した。この枠組みは自民・公明政権時代に行われ、国会対応や重要政策を擦り合わせてきた。中司氏は「前向きに検討する」と応じた。実現すれば、首相補佐官を兼ねる維新の遠藤敬国対委員長が参加するため、意思決定の重要な会議となりそうだ。
自公政権時のように首相と与党幹部らが首相官邸に集まる「政府・与党連絡会議」を開く案も浮上する。
自公政権は政策決定に当たり、党内手続きと両党の調整を組み合わせてきた。自民は政府提出の法案や予算案を、各省庁に対応した部会などで事前に審査。その後、公明と与党政策責任者会議を開いて意見集約し、閣議決定に至った。国会提出後は与党が一丸となって成立へ協力し、採決では所属議員に賛成を義務付ける「党議拘束」をかけた。
自民は、維新側も事前審査を行うことで与党の責任を共有してもらいたい考え。維新は閣僚を出していないため、閣議に出席する閣僚は自民議員のみ。自民関係者は「不人気政策の場合、維新は逃げるのではないか」と懸念する。
維新幹部は近く、政策調整の方法について検討を開始する。維新にも自民と似た部会などがあり、政府法案などを議論する場になるとみられる。
ただ、維新の吉村洋文代表は大阪府知事を兼ね、党本部も大阪市にある。国会議員団と大阪在住の幹部間で意見が対立した場合、党内の集約に手間取る恐れもある。
自維連立政権の合意書には、緊急事態条項を創設する憲法改正案の2026年度中の国会提出や、安全保障関連3文書の前倒し改定を盛り込んだ。今後、複数の協議体が同時並行で進む見通し。国会議員数が自民と比べて2割弱の維新からは「とても回し切れない」(政調幹部)との悲鳴も漏れる。
【時事通信社】
〔写真説明〕閣議に臨む高市早苗首相(中央)ら=23日、首相官邸
2025年10月24日 07時05分