
立憲民主、国民民主両党が、政権から離脱して野党陣営に加わった公明党を巡り、綱引きを繰り広げている。立民は「中道」を旗印に、保守色の強い自民党と日本維新の会の高市連立政権に公明と共に立ち向かいたい考え。国民民主は公明を巻き込んだ与党との協調路線を志向しており、思惑にずれがある。
「公明とわれわれは政策的に親和性がある」。国民民主の古川元久代表代行は23日、公明の西田実仁幹事長と政治改革に関して協議した後、記者団にこう強調した。
公明が10日に政権離脱を表明すると、国民民主は直ちに働き掛けを開始。3連休を挟んで14日に幹事長会談を行い、16日には玉木雄一郎代表が斉藤鉄夫代表と会談した。
現在模索しているとみられるのが、自民、維新、公明との4党の政策調整の枠組み。党勢拡大の原動力となってきた「政策実現」には、与党との歩み寄りが欠かせないとの判断からだ。
23日は維新、自民とも個別に幹事長会談を行った。国民民主側によると、維新には所得税課税最低ライン「年収の壁」引き上げなどを盛り込んだ昨年12月の自公国3党合意について「(維新を加えた)4党の約束にしてほしい」と要請し、承諾を得た。自民にはこれを説明し、理解を求めた。自民の鈴木俊一幹事長は記者団に「必要に応じて国民民主の幹事長とお目にかかる」と語った。
立民も公明との関係を「政策的に近い」(幹部)と重視。ベテラン議員は自維政権と対峙(たいじ)するための構えとして、「公明を取り込むことが大事だ。キーワードは『中道』という言葉になる」との認識を示した。
公明の斉藤代表は連立離脱を表明した際の記者会見で、党運営の基本について「中道改革の軸になる」と明言している。
立民の野田佳彦代表は斉藤氏と17日に会談。関係者は「かみ合った議論になった」と明かし、共同歩調に期待を示した。両党はその後、政調会長会談も行った。野田氏は「中道に軸足を置き、国会論戦を通じて(政権と)対決したい」と語る。
双方から秋波を送られる公明は当面の方針として、どちらか一方にくみせず展開を見極める姿勢。赤羽一嘉中央幹事会長は23日の会見で、今後の野党連携について「案件ごとに(判断することに)なる」と指摘。公明関係者は「立民と国民民主の相互不信は根深い」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕幹事長・国対委員長会談に臨む(左から)国民民主党の古川元久氏、榛葉賀津也氏、日本維新の会の中司宏氏、遠藤敬氏=23日、国会内
〔写真説明〕会談に臨む自民党の鈴木俊一幹事長(右)と国民民主党の榛葉賀津也幹事長=23日午後、国会内
2025年10月24日 07時04分