
政府がトランプ米大統領来日時に開かれる高市早苗首相との日米首脳会談で、米国産の液化天然ガス(LNG)や大豆、自動車購入の進展を伝える方向で調整していることが23日、分かった。日米関税交渉の合意内容を着実かつ速やかに履行する姿勢を示し、21日発足した高市政権の対米重視の姿勢をアピール。早期に首脳間の信頼関係を構築したい考えだ。
首脳会談は28日に行う。日米合意では米国からLNGを含むエネルギーを年間70億ドル(約1兆円)規模、農産物を年間80億ドル規模で追加購入すると約束した。中国による米国産大豆の輸入縮小で米農家が打撃を受けており、日本の購入拡大は米政権への助け船となる。
合意には盛り込まれていないが、米国産自動車を公用車として購入することも検討している。日米は、米国から輸入する自動車の安全認証手続きの緩和で合意しているが、直接的な購入による米貿易赤字の削減に貢献する。米大手メーカーのピックアップトラックが対象になるとみられる。
来日中に日米合意に関する署名式も行う見通しで、日本側では5500億ドル(約80兆円)の対米投融資の内容に関し調整を続けている。サイバーセキュリティー分野での新たな協力も模索する。
日本としては、対米投融資の目的である米国内のサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化に資する取り組みも加速させる。重要分野と位置付けられた造船に絡み、大手17社などで構成する日本造船工業会は23日、2035年までに3500億円の設備投資を行う方針を明らかにした。中国の攻勢で打撃を受けている日米の協力も念頭に、国内での建造力を強化する。
また、エネルギー分野を巡っても、日本最大の電力会社であるJERA(東京)が同日、ルイジアナ州でのシェールガス開発・生産権益を15億ドルで取得すると発表した。担当者は「(米国での)供給網強化にも貢献する」との認識を示した。
【時事通信社】
〔写真説明〕写真左から高市早苗首相(時事)とトランプ米大統領(EPA時事)
2025年10月24日 07時32分