TPP、RCEP拡大を=トランプ関税下のアジア成長へ―IMF高官



【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)のヘルブリング・アジア太平洋局副局長は、アジアの地域経済統合をさらに深めるべきだと提唱した。米中双方との結び付きが深いアジアは、トランプ米政権による高関税政策や米中対立で大きな打撃を受けかねない。経済成長に向け、日本主導の「包括的および先進的な環太平洋連携協定(CPTPP)」や日中韓などの「地域的な包括的経済連携(RCEP)」の加盟国拡大が必要だと強調した。

23日までに時事通信のインタビューに応じた。

ヘルブリング氏はトランプ関税の影響について「地域全体の成長が鈍化する」との見通しを示した。米中対立の再燃が懸念される中、「多国間貿易体制の開放性を維持する努力、貿易摩擦の解決に向けた取り組みは喫緊の課題だ」との認識を示した。

その上で、CPTPPは「アジアで加盟国が限られている」と指摘。RCEPについても「比較的新しく、深くはない」と課題を挙げた。経済圏の深化・拡大に取り組むことで「より多くの成果が得られる」と説いた。

ヘルブリング氏は、アジアでは他地域への製品供給を含めたサプライチェーン(供給網)の構築が進み、自由貿易は中間財で欧州連合(EU)などの経済圏に匹敵する水準にあると評価。ただ、「完成品の貿易はそれほど活発ではなく、統合が進んでいない。アジアに欠けている」と課題を提起した。

その上で、非関税障壁や域内投資などに関する「共通基準」といった自由貿易の高度化や、加盟国の拡大など「貿易自由化を進め成長の原動力としてアジアを発展させる余地がある」との見方を示した。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える国際通貨基金(IMF)のヘルブリング・アジア太平洋局副局長=17日、ワシントン

2025年10月24日 15時21分


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