
高市早苗首相(自民党総裁)と野党4党首による国会での党首討論が26日に行われる。党首討論は高市政権発足後初めて。好調な内閣支持率を「追い風」とする首相に対し、野党は、台湾有事を巡る首相答弁を受けた日中関係の悪化や、減税分も含めて21兆3000億円規模に膨らんだ総合経済対策を巡り論戦を挑む。
立憲民主党の野田佳彦代表は21日の記者会見で「日中関係の冷え込み、総合経済対策をただしていきたい」と宣戦布告した。討論は26日午後3時から計45分間で、野田氏の持ち時間は28分。続いて国民民主党の玉木雄一郎代表が8分、公明党の斉藤鉄夫代表が6分、参政党の神谷宗幣代表が3分の枠内で首相と対決する。
首相は7日の衆院予算委員会で、台湾有事が集団的自衛権の行使を認める「存立危機事態」に該当し得ると答弁し、中国の猛反発を招いた。野田氏は、日本への渡航自粛呼び掛け、日本産水産物の事実上の禁輸など「実害」が生じているとして、日中関係の改善に向けた打開策をただす方針だ。
首相が掲げる「責任ある積極財政」も焦点となる。政府は経済対策の財源の裏付けとなる2025年度補正予算案を今国会に提出し、成立を目指す。財政悪化への懸念から長期金利は急騰しており、野田氏は会見で「財政不安が高まれば、景気を逆に冷やす」と指摘。討論で説明を求める構えだ。
野田氏は「タカ派」とみる首相との対決姿勢を強めることで、「中道」を掲げる立民の党勢回復につなげたい考え。党関係者は「経済も外交も大変危ない政権だ。暴走させないように厳しく向き合う」と語った。
野党に転じた公明は、民主党政権時代の12年11月以来、13年ぶりの討論参加となる。首相が「非核三原則」見直しを否定していないことについて、斉藤氏は被爆地・広島選出の議員として「堅持を求めなければならない」と意気込む。
少数与党のため、補正予算案を成立させるには野党の協力が不可欠だ。首相の討論での発言は野党が補正賛否を判断する材料にもなりそうだ。国民民主の玉木氏は、所得税が課される最低ライン「年収の壁」の引き上げを首相に重ねて求める方針だ。参政党は初めて討論に臨む。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=21日午前、東京・永田町
2025年11月24日 19時01分