AIバブル、根強い懸念=崩壊まで「80%」地点―米株市場



【ニューヨーク時事】米株式市場が人工知能(AI)バブルの状態にあるとの懸念が金融関係者の間でくすぶっている。相場は近年、一部のIT大手銘柄に依存して急上昇してきたが、AI関連の大規模な設備投資に見合う収益がすぐ実現するかどうかは見通せない。米著名投資家は、相場はバブル崩壊まで「約80%」の地点にあるとみる。

優良株で構成するダウ工業株30種平均は、4月にトランプ米政権が相互関税を発表したショックで急落してから、今秋にかけて一時32%上昇。投資家が重視するS&P500種株価指数は43%値上がりした。伸びの大部分は米半導体大手エヌビディアなどAI関連株が主導する。

2008年のリーマン・ショックを予測したことで知られる米著名投資家のレイ・ダリオ氏は20日、米テレビ番組で、市場が「バブルの真っただ中にあるのは明らかだ」と述べた。大恐慌が起きた1929年や、2000年前後のITバブルの状態を100%とすると、「現在は約80%」の位置にあると分析。ただ、バブル崩壊のきっかけとなる要素はまだ現れていないと語った。

ニューヨークで勤務する金融関係者は最近、自宅の電気工事に訪れた技術者など、たまたま話をした複数の人から株の運用成績を自慢された。「靴磨きの少年が株の話を始めたら暴落が近い」という逸話を思い出したと言い、「バブルの様相が濃くなっているのは確かだ」と話す。

ただ、エヌビディア株などの急伸は製品やサービスに対する実需に支えられており、利益の裏付けがないまま株価が上昇したITバブルとは異なるとの指摘も多い。エヌビディアが19日発表した四半期決算は投資家の期待を上回る内容で、同社のフアン最高経営責任者(CEO)は、先端半導体の販売は「桁外れに伸びている」と強調した。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見で話す米エヌビディアのフアンCEO=10月31日、韓国・慶州(EPA時事) 〔写真説明〕米著名投資家のレイ・ダリオ氏=2024年5月、ニューヨーク(AFP時事)

2025年11月23日 07時02分


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