
自民党と日本維新の会は5日、連立政権合意に基づき衆院議員定数を約1割削減するための法案を衆院に提出した。現在465の定数を45以上減らすと明記。与野党協議で1年以内に結論が出なければ小選挙区25、比例代表20の計45を「自動削減」する条項を盛り込んだ。与党は17日に会期末を迎える今国会での成立を目指すが、野党の反発は強く、成否は不透明だ。
工程を定めた「プログラム法案」で、衆院定数を420人を超えない範囲に見直すと規定。「1割を目標に削減する」と明示した。具体的な削減策の検討は額賀福志郎衆院議長の下に置く与野党の協議会に委ねるとし、衆院選挙制度の見直しと併せて削減法施行1年以内に結論を得ることを義務付けた。与党は成立から間を置かずに施行する意向。
結論が出ない場合は、289の小選挙区を264に、176の比例定数を156に見直し、計45を自動的に削減する。
小選挙区の削減が決まれば、衆院議員選挙区画定審議会が選挙区割りの改定案を検討し、1年以内に政府に勧告する。このため、新たな選挙区の姿が固まるのは2027年度以降になる見通しだ。
法案はまず衆院政治改革特別委員会で審議される予定。ただ、同委では企業・団体献金見直しに関して与野党が提出した3法案が審議入り済みで、野党はそれを優先して取り扱うよう求めている。与党は定数削減法案の早期採決を主張する構えだが、折り合えるかは見通せていない。衆院で可決されても参院で与党は過半数を持たず、維新は参政党に賛同を呼び掛けている。
提出後、自民の加藤勝信政治制度改革本部長は記者団に「説明に汗をかきたい」と述べ、野党に理解を求める姿勢を強調。維新の浦野靖人選対委員長代行は「しっかり審議してもらい、通していきたい」と語った。
自維は10月の連立合意で1割削減の目標を示し、「臨時国会に法案を提出し、成立を目指す」と明記した。自民内には自動削減を中心に法案へ反発もあったが、執行部は連立離脱もちらつかせた維新との協調を重視。受け入れを決めた。提出に先立ち法案を了承した5日の自民総務会では反対するメンバーが抗議の意志を示した上で途中退席した。
【時事通信社】
〔写真説明〕衆院議員定数削減法案を提出する自民党の加藤勝信政治制度改革本部長(左から3人目)と日本維新の会の浦野靖人選対委員長代行(同2人目)ら=5日午後、国会内
〔写真説明〕衆院議員定数削減法案を提出する自民党の加藤勝信政治制度改革本部長(左から4人目)と日本維新の会の浦野靖人選対委員長代行(右から3人目)ら=5日午後、国会内
2025年12月05日 18時19分