日銀、中立金利を再点検=水準上がれば利上げ余地拡大も



日銀が、景気を刺激も抑制もしない「中立金利」の水準について、点検作業を進めていることが4日、分かった。日銀は現在、中立金利が1~2.5%の間にあると推計している。この水準が上がり、政策金利を上回る状態が続く場合は金融環境がまだ緩和的だということを意味するため、利上げ余地が拡大することになる。

中立金利は特定が難しく、日銀は六つのモデルによる推計値の上限と下限を使い、幅を持って示している。日銀は2024年に実施した「多角的レビュー」でも中立金利の水準を推計。その際に利用したデータが古くなったことから、経済の実力を示す潜在成長率の上昇などを踏まえ、直近の数値で再計算して分析に活用する。

日銀は18、19日の金融政策決定会合で政策金利を0.5%から0.75%に引き上げる公算が大きく、政策金利は中立金利の下限に近づきつつある。今回の点検で推計モデルの多くが上方修正されれば、さらに利上げしたとしても緩和的な金融環境はなお維持されているということになる。また、今回の利上げ局面で日銀が最終的な到達のめどとする金利水準はより高まる形になる。

市場では、今後の日銀の利上げペースに関心が集まっている。0.75%への利上げで打ち止め感が意識されれば、円安が加速する恐れもある。中立金利が上がれば景気にブレーキをかけない形で利上げする余地が広がり、円安進行の抑制にもつながる可能性がある。

【時事通信社】

2025年12月05日 07時46分

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