定数削減審議、不透明感増す=野党「企業献金」先行要求―国会



自民党と日本維新の会が5日の提出を目指す衆院議員定数削減法案の国会審議の行方が不透明感を増している。立憲民主党など野党が企業・団体献金見直し法案の審議先行を求める姿勢を鮮明にし、審議入りの見通しすら立たないためだ。今国会の会期末は17日に迫っており、会期延長の可能性も視野に与野党の駆け引きが激化している。

定数削減法案は4日の自民政調審議会で了承された。最終関門となる5日の同党総務会で了承されれば、自民、維新両党は同法案を同日中に衆院に共同提出する方針だ。両党は17日までの成立を目指しており、できる限り早期に衆院政治改革特別委員会で審議入りさせる青写真を描いている。

ネックになるのは、企業・団体献金見直しに関する3法案が特別委で先に審議されていることだ。与党内では3法案を追い越す形で定数削減法案の審議を進めるシナリオもささやかれるが、委員長ポストを握る立民幹部は4日、「定数削減法案の採決はさせない」と明言した。

他の野党も3法案の優先要求で立民と足並みをそろえつつある。国民民主党の古川元久国対委員長は党会合で「与党が(定数削減)法案を審議したいなら、まず献金の問題に結論を出すことだ」と指摘。公明党の斉藤鉄夫代表は定数削減法案を「あまりに乱暴なやり方だ。あり得ない」と批判した上で、「企業・団体献金の問題にしっかり結論を出すのが先決だ」と強調した。

共産党の田村智子委員長は記者会見で「維新は政治改革の論点をすり替え、自民の責任逃れに手を貸している」と語った。

与党は4日の特別委理事会で、週明けの8、9両日に委員会を開き、企業・団体献金見直し法案の審議を進めることを提案したが、野党は応じなかった。与党筆頭理事の古川禎久元法相(自民)は理事会後、定数削減法案の会期内成立は可能かと記者団から問われ、「予断を持って言うのは難しい」と明言を避けた。

衆院では8日から2025年度補正予算案の審議も始まる。予算委と特別委を並行して開催することは可能だが、与党が特別委で定数削減法案の審議を強行すれば、与党の最優先課題である補正予算案の審議に影響する可能性も否定できない。自民幹部は「先が読めない」と漏らした。

【時事通信社】 〔写真説明〕企業・団体献金見直しを巡り議論する衆院政治改革特別委員会=4日午後、国会内

2025年12月05日 07時03分


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