
2026年の政界は、高市早苗首相が政権安定を狙って衆院解散・総選挙という「伝家の宝刀」を抜くかが最大の焦点となる。首相は実績づくりを優先する構えで、解散について「考えている暇がない」と否定するが、自民党内では高い内閣支持率を背景に、早期断行を求める声が広がる。与野党は1月23日召集の通常国会で次期衆院選をにらんだ激しい攻防を展開する見通しだ。
◇連立拡大に期待
「多くの賛同を得られるよう誠心誠意、説明を尽くす」。首相は26年度予算案を閣議決定した25年12月26日、早期成立を目標に掲げた。18日には国民民主党の玉木雄一郎代表と会談し、同党が重視する「年収の壁」引き上げで一致。両氏の合意書には関連法案を含む「年度内の早期成立」が明記された。自民幹部は「事実上の閣外協力だ」と指摘。官邸幹部は「めどがついた」と胸をなで下ろした。
ただ、与党は参院で過半数に届かず、法案ごとに野党の協力を仰がざるを得ない「薄氷」の状況。衆院は無所属議員を取り込み、辛うじて過半数(233)に達したものの安定には遠い。政権基盤を強化するには衆院解散か連立政権の枠組み拡大が選択肢となる。
衆院解散について、自民内では重要法案を成立させた後の6月21日の国会会期末を予測する向きが多い。党関係者は「(3月下旬見通しの)予算案成立後はいつあってもおかしくない」と気を引き締める。予算審議で野党の攻勢にさらされても高い内閣支持率を維持できれば、自民内で解散風が強まるのは確実だ。
仮に衆院選で勝利しても、参院少数の状況は変わらない。政府高官は「首相は当面は仕事をしたいと思っている」と説明。解散の判断は27年9月に自民総裁任期を迎える首相の再選戦略とも連動するため、慎重に時機を探る考えだ。
連立拡大の相手は国民民主が候補となる。自民幹部は日本維新の会との連立について「一本足では危ない」と指摘した。「自維国」政権となれば与党は参院でも過半数となり、基盤は万全となる。ただ、玉木氏は政権と是々非々で向き合う立場を繰り返す。
◇与党、不協和音も
政権内の火種となりそうなのが衆院議員の定数削減問題だ。与党は先の臨時国会で法案を提出したが、野党の反発で審議に入れなかった。通常国会での成立を目指すが、野党の理解は広がらない。衆院特別委員会では企業・団体献金見直しに関する3法案の審議が優先される見通しで、定数削減法案は審議入りのめどが立たないままだ。
定数削減法案が成立に至らなければ、維新の不満が高まる可能性がある。維新は連立入りの「絶対条件」と位置付けていた。吉村洋文代表は連立離脱に否定的な考えを示すものの、与党内の不協和音が再燃するのは必至だ。
◇野党「中道」共闘を模索
野党も合従連衡を模索する。立憲民主党の野田佳彦代表は年内解散があるとみて「常在戦場」を掲げるが、高市政権との対決軸を打ち出せず、存在感に乏しい。党内では「中道路線」で共通する公明党との連携強化を目指す動きがある。
与党を離脱した公明の斉藤鉄夫代表はタカ派色の強い高市政権への批判を強める。一方で「反対一辺倒の野党にはならない方がいい」(党関係者)との意見もあり、政策実現への手探りが続く。予算案への対応が政権との距離感や立公共闘の行方を占う試金石となりそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕2026年度予算案が閣議決定されたことを受け、記者団の質問に答える高市早苗首相=26日午後、首相官邸
2026年01月03日 07時28分