
【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2026年5月、任期を迎える。トランプ大統領はパウエル氏の利下げ判断が「遅過ぎる」と繰り返し批判し、次期議長には大幅な金融緩和を進める人物を選ぶ方針を明言。FRBは中央銀行として独立性や金融政策の信認を保てるのか、早くも懸念が強まっている。
「間もなくFRBの次期議長を発表する。大幅な利下げを信じる人物だ」。トランプ氏は昨年12月、ホワイトハウスで国民に向けて演説し、自分の意に沿い、金融緩和を推進する人物を議長に据える考えを明らかにした。
米経済は、昨年7~9月期の実質GDP(国内総生産)が年率換算で前年同期比4.3%増と、力強い成長を維持。今秋の中間選挙を控え、トランプ氏は金融緩和で好調な景気と株高を演出し続けたい意向を隠さない。昨年末、SNSに「新議長には市場が好調でも金利を下げてほしい」と投稿。「私に反対する人物は、FRB議長にならない」と言い切った。
こうした中、次期議長の有力候補に浮上するのが、ホワイトハウスで経済政策の調整役を担うハセット国家経済会議(NEC)委員長。ハセット氏は第1次政権でも大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の要職を務めたトランプ氏の「側近」で、あまりの近さを問題視する声は根強い。ウォーシュ元理事やウォラー理事といったFRBの現元職の名前も挙がる。
FRBの二大責務である「雇用最大化」と「物価安定」の両立は難路が続く。米経済が堅調さを保つものの、米国の失業率はじりじりと上昇し、直近で4.6%と4年ぶりの高水準を記録。一方、インフレ率は目標の2%を上回る。金融政策は雇用悪化とインフレ再燃の両リスクの間で板挟みとなっている。
次期議長がトランプ氏の意を酌み、過度な利下げに踏み切れば、景気とインフレを過熱させかねない。FRBは基軸通貨ドルの「番人」だ。政策運営への信認が損なわれると、米金利上昇やドル相場の変動など、世界的な市場の混乱を招く恐れがある。
もっとも、政策金利は連邦公開市場委員会(FOMC)の協議で決まる。ダドリー前ニューヨーク連邦準備銀行総裁は昨年12月、CNBCテレビに出演し、組織運営などで議長の影響力は大きいとしつつも、政策決定では「(投票権のある)12票の一つを持つにすぎない」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕トランプ米大統領の隣で話すハセット国家経済会議(NEC)委員長=2025年12月3日、ワシントン(AFP時事)
2026年01月03日 07時29分