
従業員が客から過度な要求や不当な行為を受ける「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に関し、企業の対策が本格化している。カスハラ防止を巡っては、東京都などが条例制定や支援策を通じて民間の取り組みを促進。これを受けて、迷惑行為の対処手順を作成したり、録音機器を導入したりする動きが広がっている。
カスハラ防止条例は東京のほか、北海道や群馬県でも制定され、いずれも2025年4月に初めて施行された。追随する形で他の自治体でも条例作りが進む。今年10月には改正労働施策総合推進法が施行され、従業員を守るための対策が企業に義務付けられる。
実際に迷惑行為をカスハラと判断し、顧客としての対応の中止や退去命令に踏み切るためには、対処の手順をマニュアルなどで具体化しておく必要がある。従業員に対する定期的な研修や教育も重要だ。
そこで都は25年度、対策に取り組む企業への支援を始めた。中小企業を対象に、マニュアルの作成に加え、職場に録音・録画環境を整備することなどを条件に奨励金を支給。条例施行に合わせて開始したところ、想定以上に申請が殺到し、受付件数を3000件から4000件に増やした。担当者は「各社の関心の高さがうかがえる」と話す。
小売りやサービス業などの労働組合UAゼンセン幹部は「法令整備は対策推進の大きな後押しになっている。今は各社が動き始めたところだ」と説明。対策に関して従業員向けに社内通達を出したり、指針を策定したりする企業が全国的に相次いでいるという。「今後は対処事例を積み上げる段階に入る。ノウハウを中小企業などと共有して広げることが必要だ」と強調した。
【時事通信社】
〔写真説明〕東京都のカスタマーハラスメント防止に関するポスター=2025年12月、東京都新宿区
2026年01月09日 07時08分