
【攀枝花(中国四川省)時事】2025年の中国の出生数は建国以来最低の792万人と、少子化が一段と進んだ。中国政府は歯止めをかけるため、同年に全国的な育児手当を整備。ただ、先行して支給を始めた自治体では、効果が息切れするケースも見られる。より高い補助金を求めて移住する子育て世代も出ている。
21年から2人目と3人目の子供がいる家庭を対象に、3歳まで1人当たり月500元(約1万1000円)の育児手当を支給する四川省攀枝花市。6歳と2歳の子供を連れて市内の病院を訪れた陳さんは、「補助金がなければ、2人目を考えなかったかもしれない」と打ち明けた。
市統計局によると、定住人口は18~20年に純減が続いたものの、21年以降はプラスに転じた。市の共産党関係者という男性は「中国で最も子育てしやすい自治体だ」とアピールする。
ただ、市の人口1000人当たりの出生数は、23年に全国平均を超えた後、24年に再び平均を下回った。中国労働関係学院の専門家は、出生率の上昇には「教育費や雇用といった、より深刻な課題を解決する必要がある」と中国メディアに指摘した。
北京で子育て中の30代女性は、中国の育児手当について、そもそも金額が少な過ぎると批判。子育て費用が1人当たり国内総生産(GDP)に占める割合は、中国が日本や米国を上回るとされる。
自治体間で子育て世代の奪い合いも起きつつある。24年の定住人口増加率は攀枝花市が0.4%だった一方、隣接する凉山彝族自治州は0.1%にとどまった。自治州の主要都市、西昌でタクシー運転手として働く男性は「子育てのために攀枝花へ移り住んだ友人がいる」と話した。育児手当で先行する日本では、財源不足で大規模な支援策を打ち出せない自治体から人口が流出。「中国も同じ状況に陥る可能性がある」(日本の自治体幹部)と予想する声もある。
【時事通信社】
〔写真説明〕中国四川省攀枝花市内の産科病院=17日
〔写真説明〕「生育・生命の街」をアピールする標語=17日、中国四川省攀枝花
2026年01月20日 07時25分