
2011年7月、サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)がワールドカップ(W杯)ドイツ大会で初優勝を果たした。東日本大震災の発生から、わずか4カ月。震災の爪痕が色濃く残っていた日本が、サッカー界の歴史的快挙に熱狂した。当時のエース、澤穂希さん(47)は「最後まで諦めずみんなで力を合わせてやる、というのが皆さんに伝わったのかな」と振り返る。
スポーツの持つ力を示した。日本は準々決勝で開催国ドイツを破るなど躍進。決勝では米国と120分の大熱戦を演じた。延長戦の終了間際に澤さんが同点ゴールを決め、PK戦の末に感動的な勝利。難敵に何度でも食らい付き、決して諦めないなでしこの姿は、困難を乗り越えて復興に励む被災地の人々と重なった。
チームは試合前に震災の映像を見て心を打たれたという。「皆さんが大変な時にサッカーをさせてもらえることは当たり前じゃない。日本を元気にしたい思いもあった」と澤さん。つかみ取った世界一に「私たちが背中を押されて頑張れたのに、日本に帰国したら逆に私たちが励ましてもらった。優勝したのは実力もあったが、それ以上に見えない力がみんなの背中を押してくれたのは間違いない」と実感を込める。
あれから15年。東京都出身の澤さんと東北の結び付きはさらに強固になった。Jリーグの仙台で運営・広報部長などを歴任した辻上裕章さん(現J3福島副社長)と15年に結婚。同年の現役引退後に仙台へ移り住み、今も生活を送る。不思議な巡り合わせを「何が、というのは言葉では伝えられないが、きっと意味があるんでしょう。応援してくださった皆さんへの恩返しもあるのでは」と受け止める。
東北の人々の温かさやフレンドリーな人柄、豊かな自然、食べ物に触れ、住みやすさを実感。「街の良さやおいしいもの、伝統、文化を知ってほしい。何か発信できることがあればしていきたい」と意欲的に話す。
被災地支援も続けていく。東北に限らず、24年に大地震があった石川県の能登半島などに足を運ぶこともあるという。「私ができることは微力だが、サッカーを好きな子どもたちに元気良く楽しくプレーしてほしい。サッカー教室などは引き続きやっていきたい」。これからもサッカーで人々を勇気づけるつもりだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕元サッカー女子日本代表の澤穂希さん
2026年03月11日 16時02分