
【北京時事】東日本大震災の発生から11日で15年。かつて日本の農水産品の大口顧客だった中国は、東京電力福島第1原発事故を受けて導入した輸入規制を依然として続ける。昨秋には水産物に対する規制を強化するなど、輸入再開を「外交カード」として使う姿勢を鮮明にしている。
「中国国民は日本に強い不満を持っている。日本産水産物が輸入されたとしても、市場は存在しない」。中国外務省の報道官は昨年11月、高市早苗首相による台湾有事発言を批判し、こう警告した。発言に反発する中国は、再開したばかりの日本産水産物の輸入を再び停止、自国の措置を正当化した。
中国は原発事故の発生直後に日本からの農水産品の輸入を大幅に制限。その後は規制緩和を進めながらも、日中関係の改善と悪化を踏まえ、政策を調整してきた。
2023年8月には、福島第1原発で生じた処理水の海洋放出に反発し、日本産水産物の全面的な禁輸措置を発動。ただ、石破茂前政権とは措置の撤回で合意し、日本産牛肉の輸入再開に向けた協議も進めた。中国で事業を手掛ける日系食品メーカー幹部は「中国政府は科学的根拠でも何でもなく、政治的な外交カードとして『弱い水産物』を利用している」と憤る。
中国は20年にオーストラリアとの対立が深まると、同国産のワインや大麦に対する関税を相次いで引き上げた。カナダやノルウェーも経済的に威圧。措置の撤回は相手国の政権交代が前提になるケースも多く、日本に対しても当面は厳しい状況が続くといった見方が大勢だ。
先のメーカー幹部は「今後も日本への嫌がらせは繰り返される」と予想。南米などへの投資を増やし、「中国に頼らないサプライチェーン(供給網)を構築している」と打ち明けた。
【時事通信社】
〔写真説明〕中国の水産物市場=2024年8月、浙江省舟山
2026年03月11日 16時02分