熊本城、修復へ奮闘続く=完全復旧は52年度―14日、前震10年



熊本地震の前震から14日で10年。「復興のシンボル」と位置付けられた熊本城の天守閣は修復が完了し、堂々たる姿で観光客を魅了している。ただ、「第三の天守」とも呼ばれる「宇土櫓(やぐら)」や石垣などの復旧は道半ば。関係者は2052年度の完全復活を目指し、奮闘を続けている。

熊本城は、前震と約28時間後に起きた本震で、大小二つの天守から成る天守閣の屋根瓦の大半が剥がれ落ち、城内に計13棟ある国重要文化財すべてが破損するなどした。土台となる石垣は約3割に相当する約2万3600平方メートルが崩れるなどし、城全体の被害総額は約634億円に上る。

熊本市は18年3月、「熊本城復旧基本計画」を策定。37年度の修復完了を目指したが、文化財や史跡の価値を損なわない方法の検討に時間を要し、工期を延長した。

32年度の修復完了を見込む宇土櫓は高さ約19メートル、3層5階、地下1階からなる国重要文化財だ。慶長年間(1596~1615年)の創建とされ、築城当時の姿を保っていたが、地震で基礎や柱の42カ所が損傷。各階で柱が傾斜して床が水平でない「不陸」状態になり、最大265ミリメートルの高低差が生じた。

部分的な修理は困難で、解体・組み直しが決まり、予定では28年度に組み立てが始まる。すべて解体しての修復は1927年以来、約100年ぶりで、熊本城総合事務所復旧整備課の上村祐一課長(53)は「後世に残していけるようしっかり取り組む」と意気込む。

より時間が必要なのは石垣だ。国の特別史跡の一部で、特徴の一つに、上部ほど勾配がきつく、敵がよじ登るのを困難にする「武者返し」がある。

修復では、地震の揺れでずれた石を取り除き、被災前の写真と照合するなどしながら元の位置に戻していく。重機などを使い、10万個以上を積み直す必要があるとみられ、現在の進捗(しんちょく)率は約7%。5年ほど携わっている石工の北園和憲さん(48)は「遺構を傷つけてはいけない。1週間に40個を動かせれば御の字」と話す。

地震の際、高校1年生だった熊本市出身の田中伸幸さん(25)は約3年前、石工職人の門戸をたたいた。「これから先、大きな地震が来ても耐えられる石垣を積みたい」。北園さんらと共に日々、汗を流している。

【時事通信社】 〔写真説明〕熊本地震からの復旧が続く熊本城。左は天守閣、右は素屋根で覆われ修復中の「宇土櫓(やぐら)」=7日、熊本市(小型無人機で撮影) 〔写真説明〕熊本地震からの復旧が続く熊本城。奥は天守閣、手前は素屋根で覆われ修復中の「宇土櫓(やぐら)」=7日、熊本市(小型無人機で撮影) 〔写真説明〕熊本地震からの復旧が続く熊本城。手前は天守閣、奥は素屋根で覆われ修復中の「宇土櫓(やぐら)」=7日、熊本市(小型無人機で撮影) 〔写真説明〕復旧が続く熊本城の石垣=3月9日、熊本市

2026年04月14日 07時00分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース