円の実力、凋落止まらず=56年前下回る、購買力減退



「円」の価値が凋落(ちょうらく)し続けている。国際決済銀行(BIS)によると、通貨としての総合的な実力を示す「実質実効為替レート」は今年3月時点で66.33(2020年=100)と、統計が始まった56年前の水準を下回った。海外からモノやサービスなどを「買う力」が失われていることを意味し、食料や原油など輸入品の価格高騰を招いている。

実質実効レートは、対ドルの円相場など特定通貨間の為替レートとは異なり、多数の通貨の中で相対的な実力を測る指標。他の国より物価上昇率が高ければ上がる特徴があり、円の実質実効レートは1995年に現在の約3倍に当たる最高値を記録した。ピーク後は日本経済や物価の長期低迷とともに低下が続いてきた。低金利でドルやユーロなどに対して円安が進んでいることも拍車を掛けた。

集計が始まった70年のレートは75近辺だった。当時は1ドル=360円の固定相場制だったが、現在はこの水準も下回っている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、低迷の要因について「少子高齢化を背景に進む国力の低下である可能性が高い」と分析する。

外国為替市場では、対ドルの円相場が3月に一時160円台半ばまで下落。円の弱さはユーロや人民元など多くの通貨に対しても顕著で、実質実効レートを押し下げている。

高市政権が発足した昨年10月時点のレートは70.81で、半年で約6%低下した。積極財政路線による財政悪化の懸念などで、円が売られたことが一因だとみられる。

実質実効レートは、BISが約65カ国・地域の為替レートや貿易量、物価変動などを考慮して算出している。低下は輸入品価格の上昇を通じて家計や企業に負担となる一方、外国人旅行者にとっては日本のモノやサービスが割安となる。日本の輸出企業には競争力強化につながる側面もある。

【時事通信社】

2026年04月26日 07時05分

economy


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース