米イスラエルによるイラン攻撃から3カ月たった。原油輸送の要衝ホルムズ海峡の事実上の封鎖は、プラスチックや塗料など広範な資材の原料となる石油製品ナフサの供給混乱という形で日本を直撃。政府は供給の偏りや流通の目詰まり解消への対応に追われる一方、代替調達の進展で年明けまでの必要量は確保したと強調する。ただ、商品の品薄や値上げは相次いでおり、企業などの現場実感との乖離(かいり)が生じている。
「サプライチェーン(供給網)をさかのぼり、一つ一つ丁寧に対応を進めている」。鈴木憲和農林水産相は27日開いた食品関連業界とのオンライン会合でこう強調し、政府の対応策に理解を求めた。食品包装などでナフサ由来製品を多く使う同業界は調達難に直面する最前線の一つだ。
イトーヨーカ堂が刺し身のトレーのふたをプラスチックから安価なラップに変更するなど試行錯誤する。カルビーやカゴメは、予防的にパッケージを白黒にしたり、デザインを簡素化したりしてインクを節約する。
ナフサの供給混乱の影響は広範に及ぶ。大王製紙やユニ・チャームは紙おむつの値上げを発表。大阪ダイハツ販売は18日、エンジンオイルなどで「出荷制限および入荷遅延、受注停止が発生している」と公表し、交換作業に応じられない可能性があると顧客に理解を求めた。
政府は民間企業と連携し、中東以外からの代替調達を推し進め、供給可能な期間を段階的に延ばしてきた。それにもかかわらず、調達が不安定な事業者は後を絶たない。インクが品不足だという名古屋市の看板製作企業の経営者は「小さな看板屋では大手商社と取引をしておらず、入手は難しい」と指摘。取引先の規模や調達力が供給の偏りの原因の一つであることを示唆した。
政府もこうした現状を認識。21日には調達交渉で立場が弱くなりがちな一人親方を中心とした工務店や自動車整備工場、パン・菓子などの小規模販売店に対し、出先機関が能動的に実態を聴取する仕組みを新設。供給が停滞している箇所を特定し、個別にやりとりする構えだ。
楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリストは、25日に高市早苗首相が化学製品やプラスチックなどを対象に分解・加工の各段階について詳細な在庫状況を示したことを挙げ、事業者の不安の所在を特定するなど「コミュニケーションの解像度が上がってきている」と評価した。ただ、供給正常化には一定の時間がかかるとし、民間も使う材料を節約するといった工夫を続ける必要があるとした。
【時事通信社】
2026年05月28日 07時33分
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