
木原稔官房長官の「会期延長不要」発言が14日、与野党に波紋を広げた。「副首都」創設法案などの審議を促す狙いがあったとみられるが、自民党に事前の根回しはなかったといい、党側は反発。17日に会期末が迫る最終盤の国会対応で首相官邸と自民の足並みが乱れている。
木原氏は13日夕、首相官邸で記者団に対し、野党が求める高市早苗首相出席の衆院予算委員会集中審議に会期内に応じると明言。さらに「会期延長の必要性はない」と断言した。政府の立場で国会運営に言及するのは異例で、寝耳に水の自民国対幹部は「官邸の意図が分からない」と怒りをあらわにした。
発言の狙いについて、木原氏は周囲に「副首都法案の14日採決の環境整備のためだ」と打ち明けた。14日までに衆院を通過しなければ、会期延長は避けられないとみられてきた。
当初、中道改革連合は14日採決に応じる意向だったが、集中審議の日程が確定しないため、態度を硬化させた。事態打開へ立憲民主党幹部が13日に官邸幹部に電話で直接、「首相か官房長官に集中審議に応じると言わせるべきだ」と伝えたという。木原氏はこの求めに応じたもようだ。
野党が求めたのは「集中審議の確約」だけだった。会期延長にまで踏み込んだことで、与野党に「政府が会期を決めるのではない」と批判が拡大。木原氏は14日の記者会見で「政府としては現在の会期を前提とすべきだという趣旨で申し上げた」と釈明し、この後にも記者団の前に現れ、「延長を前提にした国会は想定していない」と強調した。同氏周辺は「会期延長は言わなければ良かった」と悔やむ。
首相にはかねて自民側に「国会運営を分かっていない」と不満が募っていた。そこに飛び出した木原氏の発言が、火に油を注ぐ形となった。
結局、中道の翻意にはつながらず、副首都法案の衆院特別委員会採決は15日にずれ込んだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は会見で「官房長官が言い切ったのに、結果として会期が延長されれば政府の権威に関わる」と当てこすった。
「国会審議の在り方は国会でお決めいただく」。首相は出席を求められるたび、こうかわしてきた。官房長官が踏み込んだ発言をしたため、野党の要求を従来の論法でいなすのは難しくなりそうだ。
【時事通信社】
〔写真説明〕記者会見する木原稔官房長官=14日午後、首相官邸
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=14日午前、東京・永田町
〔写真説明〕記者会見する国民民主党の玉木雄一郎代表=14日午前、国会内
2026年07月15日 07時03分