防衛機密、クラウドで運用へ=AI活用を本格化―移行準備、来年度着手



防衛省は、自前のシステムで管理してきた機密性の高い情報について、民間クラウドでの運用に移行する。関係者が1日、明らかにした。2027年度予算で移行準備の経費を要求する。急増するデータを一体的に活用し、人工知能(AI)の導入を本格化させる。

防衛省・自衛隊はこれまで、部隊の指揮や外国との情報共有などに関する機密情報を、各自衛隊などの自前のシステムで運用してきた。

外部のコンピューターを利用するクラウドへの移行により、計算能力や保存容量を柔軟に拡張でき、衛星や無人機などの普及で急増するデータを横断的に連携・分析できるようになる。さらに民間の最新AIをシステムに取り込みやすくなり、瞬時の意思決定につながると期待される。

ただ、外部の基盤を介するため、安全性をどう確保するかが課題となる。高機密情報はこれまでクラウドで扱わないのが原則で、利用を前提とした政府横断の基準は整備されていなかった。

加えて、防衛省が求める性能のクラウドは、現状では米巨大IT企業が提供するサービスに実質的に限られる。技術面での安全性には高い評価がある一方、外国企業の基盤を利用する以上、機密情報を日本がどこまで管理・統制できるかが問われる。

こうした課題を踏まえ、政府では国家サイバー統括室が、安全性と情報の統制を確保するための基準を今年度中に整備する。データの保管場所や管理権限を持つ人の要件、アクセス管理などを定める。基準は防衛省だけでなく、機密情報を扱う他の政府機関にも適用する。情報の機密度に上限は設けず、特定秘密も対象とする方針だ。

クラウド活用の背景には、戦場の様相の急速な変化がある。ロシアのウクライナ侵攻では、無人機や衛星などから得られる膨大なデータをAIで分析し、迅速に作戦へ反映する運用が広がった。防衛省幹部は「抑止力を維持するには『新しい戦い方』に対応できるインフラを整えることが不可欠になる」と話す。

【時事通信社】 〔写真説明〕防衛省=2025年3月、東京都新宿区

2026年08月02日 07時12分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース