
最大震度7を観測した熊本県内の被災地では、墓地に崩れた墓石が散乱し、法要の取りやめが相次いだ。地震の爪痕が色濃く残る中でお盆を迎えた被災者らは、静かに手を合わせ先祖を供養した。
八代市海士江町の梅田一治さん(73)と妻の真理子さん(72)は15日、土台がずれるなどした墓の前で手を合わせた。数日前に片付けに訪れ、石材店に修復を依頼したという。「ご先祖様に『できるだけ早く直します。見守っていて』と語り掛けた」と話した。
宇城市の豊栄寺では本堂が傾き、入り口の屋根を支える柱が大きくずれた。境内の地蔵が砕ける被害も出た。住職の阪田智英さん(59)は毎年お盆の時期に檀家(だんか)宅を訪れ法要を行っていたが、今年は自身も檀家も被災し、取りやめざるを得ないという。「次に大きく揺れたら本堂が倒壊するかもしれない。ただ、帰省してお参りに来る人のためにも留守にはできない」と話す。
市内の墓地には同市の吉村誠也さん(68)ら家族4人の姿があった。自宅は地震の影響で断水が続いており、近所でくんだわき水を持参して掃除した。市内の別の墓地にある妻(65)方の墓石は倒壊。自宅の片付けに追われ、墓の修繕に手が回らないといい、崩れた墓石に花を供えてしのんだ。
吉村さん宅ではお盆の時期に親戚十数人で集まるのが恒例となっていたが、今年は中止に。母は孫の顔を見るのを心待ちにしていたが、吉村さんは「水も出ず、迎え入れられる状態ではない」とうなだれた。
お盆の帰省では、氷川町の道の駅「竜北」も活気が戻った。八代市の妻の実家への帰省を終えたという菊池市の坂本芳久さん(63)は氷川町の名産「吉野梨」を購入。「生産者を少しでも勇気づけられれば」と語った。
【時事通信社】
〔写真説明〕地震で一部が倒壊した墓の前で、家族と手を合わせる梅田一治さん(手前)=15日午後、熊本県八代市
〔写真説明〕熊本地震で倒れたり、割れたりした豊栄寺の地蔵=12日、熊本県宇城市
〔写真説明〕熊本震度で倒壊した妻方の墓石を見詰める吉村誠也さん=13日、熊本県宇城市
2026年08月15日 20時26分