被災図書館、一歩ずつ日常へ=移動式再開、園児に笑顔も―熊本・宇城市



震度7の揺れに襲われた熊本県宇城市で、休館を余儀なくされた市立図書館が再開に向け歩みを進めている。市内を車で巡回する移動式図書館は再始動し、園児に笑顔が戻った。市立図書館の酒井俊光館長(48)は「時間はかかると思うが、少しずつ日常生活を取り戻せれば」と前を向く。

7月28日の地震後、酒井館長が図書館に駆け付けると、周辺の地盤は沈んでガラスは割れ、壁もはがれ落ちていた。館内では本が至る所に散乱していた。

図書館には美術館や、1万冊以上の絵本がある「こども絵本のいえ」が併設されているほか、正面の芝生広場ではマルシェやヨガ教室も定期的に開かれる。憩いの場として地域から親しまれる存在だが、本館は「立ち入り危険」と判断され、復旧作業開始のめども立たない。酒井館長は「夏休みに読書や勉強、一休みできる場所を開けなくて申し訳ない」と話す。

一方、市内に3カ所ある図書館分館のうち、比較的被害の小さかった三角分館は再開した。小川分館でも散らばった本を棚に戻す作業を終えた。市内を巡回する移動図書館車も18日に再開し、保育園などを訪れている。

図書館車が来た同市松橋の豊川保育園では、園児らが絵本や図鑑を次々と手に取り、「うれしい」「楽しい」などと声を弾ませた。鷲尾天園長(55)は「当たり前にできていた読書ができなくなり、子どもも不安だった。来てもらえてありがたい」と歓迎する。移動車で本を運んだ図書館職員の木村智雄さん(53)は「少しでも日常の楽しみを届けられて良かった」と笑顔を見せた。

図書館には、本館などの再開時期について市民から問い合わせも来るという。酒井館長は「できることから地道に少しずつ取り組んで、きちんとした状態で利用者を迎えたい」と話している。

【時事通信社】 〔写真説明〕地震で散らばった本を片付ける宇城市立図書館の酒井俊光館長=24日、同市の小川分館 〔写真説明〕市内を巡回する移動図書館車で本を選ぶ園児たち=25日、熊本県宇城市 〔写真説明〕市内を巡回する移動図書館車で選んだ本を手に取り、笑顔を見せる園児たち=25日、熊本県宇城市 〔写真説明〕宇城市立図書館の小川分館で、地震で散らばった本を片付ける職員=24日、同市 〔写真説明〕熊本地震の被害を受けた豊川保育園の図書室で散らばった本を見詰める鷲尾天園長=25日、熊本県宇城市

2026年08月27日 14時30分


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