戦後最長の景気拡大へ=物価高で実感乏しく―いざなみ超え



2020年6月に始まった現在の景気拡大期が今年7月で74カ月に達し、「いざなみ景気」の73カ月(02年2月~08年2月)を超えて戦後最長となった可能性が高まっている。この間、インフレ進行で名目GDP(国内総生産)の規模は拡大し、歴史的な円安で企業収益は過去最高を更新した。ただ、実質賃金や個人消費は伸び悩み、家計にとって好景気の実感は乏しい。

内閣府が今月7日公表した7月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数の改善傾向が継続した。実際に戦後最長か否かは、景気の「山」と「谷」を判定する有識者の「景気動向指数研究会」での議論を踏まえ、事後的に認定する。

コロナ禍の20年5月を谷とした今回の拡大期では、長く続いたデフレからインフレ経済へと転換。名目GDPの実額は今年4~6月期に年率換算で689兆円と、20年4~6月期の528兆円から大きく膨らんだ。今年4~6月期の法人企業統計では、全産業(金融業と保険業を除く)の経常利益は7四半期連続の増益で過去最高を更新した。

ただ、実体経済は力強さを欠く。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算によると、今回の拡大期では、物価変動の影響を除いた実質GDP成長率は、コロナ禍の反動で大きく伸びた20年7~9月期を除いた同年10~12月期から今年4~6月期までで年平均1.3%。低成長が続いたいざなみ景気(1.6%)、アベノミクス景気(1.4%)と変わらない。

今回の拡大期では、消費者物価が年平均2.1%上昇と、いざなみ景気などを大きく上回る。26年春闘まで3年連続で5%超の高い賃上げ率を達成したが、実質賃金の平均伸び率はゼロ近傍にとどまり、個人消費は低調なままだ。内閣府幹部は「(景気は)悪くなっていないだけでほぼ横ばい」と話す。

三菱UFJリサーチの小林真一郎主席研究員は「実感なき景気拡大」からの脱却には「物価高や行き過ぎた円安、社会保障制度を安定させて将来不安を払拭し、安心して手元のお金を使える環境をつくれるかが鍵を握る」と指摘している。

【時事通信社】 〔写真説明〕内閣府庁舎=東京都千代田区

2026年09月17日 07時41分


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