
高市早苗首相(自民党総裁)が行った党役員人事は、来秋の総裁選をにらんで安定を重視したものだ。閣僚未経験の中堅を国対委員長に据えた人選は、「国会嫌い」で通る首相の意向を反映しやすくするためとの見方がある。こうした「高市流」に対し、党内から不満の声も出た。
「自民党・政府一丸となって難局を打開していく」。党執行部人事を承認した16日の総務会で、首相はこう強調した。
最大の焦点は麻生太郎副総裁の義弟である鈴木俊一幹事長を続投させるかどうかだった。首相と立場が近いと言えない鈴木氏を外し、旧安倍派の実力者の萩生田光一幹事長代行を昇格させる案も当初は首相サイドにあった、と関係者は明かす。
だが、首相は自らの後ろ盾となっている麻生氏と鈴木氏の留任を早々に決めた。麻生氏は派閥として唯一残る麻生派を率いる。その支持をつなぎ留めておけば、総裁再選に向けた大きな足掛かりになる。
「けんかする必要はない」。首相側近は麻生氏側への配慮を認めた。
当選6回で46歳の村井英樹氏を国対委員長に起用した人事は「サプライズ」として受け止められた。閣僚経験者が務めるポストというのが自民の相場観だからだ。
先の特別国会で首相の予算委員会出席は従来と比べて大幅に少なかった。答弁準備に長時間費やしたり、野党の批判を浴びたりするのを首相が嫌がったためという。
来月召集の臨時国会では消費税減税法案など与野党対決型の案件も控える。首相は、保守色の強い日本維新の会との連立政権合意を着実に実現することが党内の支持固めにつながるとみる。
村井氏は衆院議院運営委員会の与党筆頭理事として野党の審議拒否を「時代遅れ」と批判し、「効率化」を訴えた。与党幹部はその姿勢が首相の目に留まったと解説した。
ただ、党則は国対委員長の人選は幹事長の権限だと定める。村井氏の名前が取り沙汰された際、鈴木氏は不満げな様子を隠さなかった。
村井氏の力量も未知数だ。国対委員長経験者は「言うことを聞きそうなタイプに代えた」と冷ややか。党関係者は「野党と話をまとめられず、責任の押し付け合いになる」と危ぶむ。
党四役は、もともと首相に近い有村治子氏が総務会長から外れた以外は同じ顔触れとなった。ベテランは「続投ばかりでは支持率アップにつながらない」と指摘した。
【時事通信社】
〔写真説明〕自民党本部に入る高市早苗首相=16日、東京・永田町
〔写真説明〕自民党の臨時総務会を終え、撮影に応じる高市早苗首相(中央)、麻生太郎副総裁(右)、梶山弘志総務会長=16日、東京・永田町の同党本部
〔写真説明〕新たな体制で初の自民党役員会に臨む高市早苗首相(奥中央)=16日、東京・永田町の同党本部
〔写真説明〕自民党本部に入る村井英樹国対委員長=16日、東京・永田町
2026年09月17日 07時04分