
今回の自民党役員人事で抜てきされた村井英樹国対委員長(46)の動きに与野党の視線が注がれている。衆院当選6回とはいえ入閣経験のない村井氏に高市早苗首相が白羽の矢を立てた背景には、国会運営を首相官邸主導で進めたいとの思惑があるとみられているためだ。野党は「強引な国会運営が増えるのではないか」と警戒を強める。
「有権者が期待している。国会審議の充実化・効率化をしっかり進めたい」。村井氏は18日、初めて臨んだ与党国対委員長会談で「国会改革」を進める方針を確認した後、記者団にこう語った。
財務官僚出身の村井氏は国会改革論者として知られる。かねて「首相は国会より政策判断や外交に時間を割くべきだ」と主張。野党の戦術を「日程闘争は不毛だ」と批判し、2018年には「与野党の合意が得られない場合は職権で日程を決める」などとした改革提言の取りまとめに関わった。
24年からは国対筆頭副委員長として与野党折衝の最前線に立ったものの、野党への配慮を欠かさない旧来型の国対政治とは一線を画し、先の特別国会では野党の審議拒否を「時代遅れ」と率先して批判した。こうした姿勢が、議院運営委員長時代に国会改革を強引に推し進めようとして挫折した首相の目に留まったとみられる。
首相は昨年10月の就任以来、国会質疑を渋る場面が多く、思い通りに動かない国対関係者に不満を抱いてきたとされる。首相としては国対経験の浅い村井氏なら自分の意向を反映させやすいとの計算もあるとみられ、党関係者は「官邸がやりたいようにやるとの意思表示だろう」と指摘した。
野党は危機感を強めている。10月5日召集予定の臨時国会では消費税減税関連法案など複数の与野党対決法案の審議が見込まれるが、与党に衆院の4分の3の議席を握られ、野党の多弱化が進んだ現状では抵抗にも限界がある。民主改革の会関係者は「自民は合意形成に時間をかけず、数の力で押し切ろうとするだろう」と語った。
もっとも、参院では与党の過半数割れが続いており、衆院審議を強行一辺倒で進めれば参院審議がストップする可能性がある。野党と太いパイプを築いてきた石井準一氏は今回の人事で参院幹事長を退いており、自民内から「行き詰まったときの調整役がいない」と懸念する声も漏れる。
【時事通信社】
〔写真説明〕与党国対委員長会談に臨む自民党の村井英樹国対委員長=18日、国会内
2026年09月21日 07時05分