カスハラ対策、企業の義務に=従業員保護へ対応広がる―改正法施行



改正労働施策総合推進法が10月1日施行され、顧客による迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策は企業の喫緊の課題となる。同法は労働者を守るための対応方針の明確化や相談体制の整備などを義務付けており、対応が不十分な場合には行政指導の対象に。先行して対策を講じる動きも目立つが、ノウハウ不足などを理由に対応が追い付いていない企業も多いとみられる。

改正法では、カスハラを「職場において行われる顧客などの言動で、業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境が害される」と定義。典型例として「不当な損害賠償要求」「土下座の強要」「盗撮や無断での撮影」などを示した。その上で、企業に対応方針の明確化と従業員への周知、相談体制の整備、被害発生後の適切な対応などを求めている。

義務化に先立ち、企業では自社の業種や業態に応じた対策を講じる動きが広がっている。タクシー大手の日本交通は、カスハラと判断した場合には「従業員を守るべく、会社として積極的に対応する」と基本方針に明記した。カスハラ抑止のため、車内には防犯カメラが作動中であることを伝える電光掲示板を設置。広報担当者は「従業員に安心して継続して働いてほしい」と話す。

タリーズコーヒージャパンは、従業員のプライバシー保護のため、名札をイニシャル表記に変更。アフラック生命保険は対応マニュアルを策定し、長時間拘束などカスハラ行為と判定し得る目安や具体的な対応手順を盛り込んだ。

東京都が昨年10月に実施した実態調査によると、カスハラ対策に取り組んでいる企業は38.5%。未実施の企業からは、正当なクレームとの区別の難しさやノウハウ不足が課題に挙げられた。

ハラスメント問題に詳しい成蹊大の原昌登教授(労働法)はカスハラについて「従業員の心身を疲弊させ、他の顧客にも大きな迷惑が生じる」と指摘。対応マニュアルを策定する際には「自社で起きたカスハラの事例を踏まえ、従業員がどう動けばよいのかが分かるような具体的な内容にすることが重要だ」と話す。

【時事通信社】 〔写真説明〕車内のSOSを知らせる表示を出すタクシーのモニター=25日、東京都江戸川区 〔写真説明〕カスハラ対策で「防犯カメラ作動中」と電光掲示板で表示し、ステッカーでも注意を呼び掛けるタクシーの車内=25日、東京都江戸川区 〔写真説明〕タリーズコーヒージャパンのイニシャル表記の名札(同社提供)

2026年10月01日 07時02分


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース