「土俵づくり」異論置き去り=自民決着優先、高市首相の意向背景か



自民党と日本維新の会による連立政権の懸案だった衆院議員定数削減が今国会実現に向けて大きく進展した。国民民主党を加えた3党が比例代表定数の削減幅を31に圧縮することで合意し、参院の過半数獲得にめどが立ったからだ。幅広い合意形成が求められる「民主主義の土俵づくり」にもかかわらず、与野党の異論を置き去りにしたまま、議論の舞台は国会に移ることになる。

「100%ではないが、70%は目標を達成できた。31削減が実現すれば、日本で戦後最大の定数削減になる」。維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は28日、府庁内で記者団にこう語った。

衆院定数削減は維新が連立政権合意書に明記し、「改革のセンターピン」(吉村氏)として自民に実現を迫ってきた課題だ。しかし、野党の反発から昨年の臨時国会、今年の特別国会と連続して「継続審議」の扱いになり、高市早苗首相が吉村氏に繰り返し理解を求めてきた経緯がある。

「今国会こそ」とこだわったのは維新との関係を重視する首相との見方が強い。「維新カラー」の成果がほかに見通せないことにも焦りを強めたとみられ、「人口減少に応じて定数を減らすのは合理性がある」(玉木雄一郎代表)とシグナルを送っていた国民民主に照準を合わせた。

自民実務者の鈴木馨祐元法相は22日の与野党協議で、維新と掲げてきた45議席削減を31議席削減に縮小する案を提案。国民民主が19議席削減案を提起すると、削減幅ではこれ以上譲れないとしつつ、(1)比例中国・四国ブロックを統合(2)比例統一名簿方式を導入―の提案を受け入れた。

31削減を先の衆院選の結果に当てはめても、国民民主の議席は2しか減らないとの試算も自民から示されていた。国民民主の古川元久代表代行は「合格点だ」と満足そうに語った。

自民、維新、国民3党は29日に正式合意を交わし、法案作成に入る。とはいえ、法案には定数削減だけでなく、比例議席配分方式の見直しなど幅広い変更が盛り込まれる。野党は「選挙制度改革では幅広い合意形成を重視する国会の伝統に反する」(民主改革の会中堅)と反発を強めている。

国民民主懐柔のため急きょ受け入れたブロック統合と統一名簿導入は自民内でも議論されておらず、同党重鎮は「理念も何もない」と批判する。「定数削減は抜本改革までの1回限り」とする国民民主に対し、維新の藤田文武共同代表が「そういう認識は全くない」と不快感を示すなど、足並みをそろえたはずの3党からも不協和音が漏れる。

【時事通信社】 〔写真説明〕記者団の取材に応じる日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)=28日午後、大阪府庁 〔写真説明〕国民民主党の総務会に臨む玉木雄一郎代表(奥中央)=28日午後、国会内

2026年10月29日 07時05分


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