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退位の礼、くすぶる違憲論=「伝統と憲法」調和に腐心-政府



平成最後の日の4月30日、天皇陛下の「退位の礼」に当たる「退位礼正殿の儀」が催され、憲法上の国事行為と位置付けられる一連の皇位継承儀式がスタートした。政府は伝統と憲法を調和させることに腐心しながら儀式の詳細を決めたが、違憲の疑いがあるとの声もくすぶる。

退位礼正殿の儀は午後5時から皇居・宮殿「松の間」で行われた。天皇、皇后両陛下が入場されると、侍従が皇位の証しとされる剣、勾玉(まがたま)などを台上に安置。安倍晋三首相が「国民代表の辞」を読んだ後、天皇陛下が「お言葉」を述べた。

約10分後に両陛下らが退出し、30日の儀式は終了。剣と勾玉は元の保管場所に戻された。次の儀式は5月1日午前10時半からで、新天皇が剣と勾玉を引き継ぐ「剣璽等承継の儀」となる。政府高官は「常に憲法との関係を考えながらやってきた。よくここまで来た」と語った。

平成の代替わりで経験した「即位の礼」と異なり、退位の礼は象徴天皇制を定めた現憲法下で初めてで、約200年前に光格天皇が退いて以来。政府は平安時代の書「貞観儀式」を研究しながら、伝統的な退位の礼を憲法の枠内にどう収めるかに頭を悩ませてきた。

退位礼正殿の儀と剣璽等承継の儀を分離したのは工夫の一つ。伝統を重視する保守派には、両儀式の一体化を求める声が強かったが、天皇陛下が自らの意思で皇位を譲ったように映れば、天皇の政治的権能を禁じた憲法に抵触しかねない。このため、両儀式を日を変えて行うこととし、17時間以上の間隔も設けた。

剣と勾玉を退位礼正殿の儀の後にいったん片付けたのも、天皇陛下から皇太子さまに渡したようになるのを避ける狙いがある。譲位色を薄めるため、伝統の「譲位の宣命」もなくした。即位の礼に関しては、違憲論争が再燃しないように、議論が一応決着した平成の代替わりの例を踏襲する。

それでも違憲性を指摘する声は絶えない。例えば、退位礼正殿の儀で使われた剣と勾玉は「三種の神器」の一部。政府は皇室経済法に基づく「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」と位置付けているが、宗教色が強いことから、憲法の政教分離原則との関係で問題視する向きがある。

1日に剣璽等承継の儀に続いて行われる「即位後朝見の儀」も、朝見が「臣下が朝廷に参内して天子に拝謁(はいえつ)すること」(大辞林)を意味するため、国民主権の原則にそぐわないとの意見がある。10月22日の「即位礼正殿の儀」で使われる高御座の宗教色を指摘する声も消えない。

中でも論争を呼びそうなのが11月14、15両日の大嘗祭だ。即位後の天皇が国の安寧と五穀豊穣(ほうじょう)を神々に祈る宗教的な儀式のため、国事行為とは位置付けない。しかし、政府は平成の代替わりの際と同様に費用は国費でまかなう方針で、整合性を問う声が上がりそうだ。

平成の代替わりの際は、大嘗祭と即位の礼の合憲性を争う訴訟が相次いだ。違憲性を認めた最高裁判決はないが、1995年の大阪高裁判決は「政教分離規定に違反するのではないかとの疑いを一概には否定できない」と指摘した。今回も一連の儀式をめぐり訴訟が起こされる可能性はある。

【時事通信社】

2019年04月30日 17時35分

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