
【ロンドン時事】バーナム英首相の就任から1カ月が経過した。物価高対策など国民生活に焦点を当てた施策を矢継ぎ早に表明し、与党・労働党の支持率は持ち直した。ただ、外交面は控えめで、対米関係改善など課題は残されたままだ。
◇国民生活改善目指す
バーナム氏は7月20日の就任に際して「(国民が)心の余裕を持てるように、生活費の支援をする」と強調。家庭向け電力料金への付加価値税5%の撤廃、バス運賃の上限引き下げなどを表明した。年末までに路上生活者をなくすための緊急対策も打ち出した。
公共サービス事業を市場経済任せにせず、地方自治体が管理することにも道筋を付けた。バス会社から始め、今後は水道会社などにも対象を広げる考えだ。調査会社イプソスが今月9日に発表した世論調査では、労働党の支持率は28%で首位となり、右派ポピュリスト政党リフォームUK(25%)を逆転した。
もっとも財政運営の手腕は未知数だ。支援策の積み増しにより、今後の予算編成過程で財政支出の拡大が金融市場で強く意識されれば、英国債や通貨ポンドが売り浴びせられる恐れもある。
◇対EU、衝突に警戒
一方で、外交の動きは鈍い。イラン攻撃を巡ってスターマー前首相との間でぎくしゃくした対米関係の改善が急務だが、トランプ大統領とは就任後に電話で会談しただけだ。先に離脱した欧州連合(EU)との関係強化を訴え、若者向け交流制度などを巡る関係諸国との交渉を秋に控えるが、英国の「ご都合主義」を許さないEU側と「衝突しかねない」(フィナンシャル・タイムズ紙)と伝えられる。
地方分権推進を掲げるバーナム氏は、ロンドンから300キロほど離れたマンチェスターに設置した「ナンバー10・ノース(北の首相官邸)」とロンドンを頻繁に行き来する。首都を離れると突発的な危機への対応がおろそかになるのではないかと懸念され、「政府の所在地から統治する姿を示す必要がある」(テレグラフ紙)との指摘も出ている。
【時事通信社】
〔写真説明〕バーナム英首相=21日、ロンドン(AFP時事)
2026年08月23日 07時02分