
農業を継続しながら、農地上の空間で太陽光発電を行う「営農型太陽光発電」が岐路を迎えている。定められた収量に達しないなど不適切な事例が相次いでおり、農林水産省は規制を強化する方針。一方、売電収入などを原資に農地保全やスマート農業に取り組もうとするまっとうな事業者を排除しかねないとして、反発の声も上がる。
営農型太陽光発電は2013年開始。地域の平均単収の8割を超える収量確保などを条件に、農地の一時転用としてパネル設置が認められた。固定資産税が割安な農地扱いのまま農業と発電を両立できる農家の所得向上策の一つとして注目され、23年度までに累計6137件が許可を受けた。
しかし、発電事業者が耕作放棄地などを借り受け、農業には十分に取り組まないケースも多く、同年度末時点の設置数の約4分の1に当たる1221件で、収量未達や生育不良などが生じた。このため農水省は、営農実態を示すため50万円以上の生産・販売実績があることや、パネルによる遮光率を30%未満にとどめることなどを新たな条件とした基準案をまとめた。
長野県茅野市の中山間地域で、兼業農家としてコメを生産する帯川恵輔さん(30)は、太陽光発電の設置で増えた収入を活用し、水を遠隔管理するスマート農業技術を導入した。今回の一律の規制強化には「中山間地で水田を維持するための選択肢がかなり狭くなる」と指摘。特に農地の集約化が難しい地域では「農地の保全に結び付いているかどうかを評価基準にしてほしい」と訴える。
また、自然エネルギー財団の石田雅也研究局長は、遮光率の制限について「全てに適用するのは、あまりにも根拠がなさ過ぎる」と強調する。半日陰を好むコーヒー豆や、一定期間の遮光が必要な茶などの栽培と発電を両立している例もあるとして、見直しを求めている。
【時事通信社】
〔写真説明〕「営農型太陽光発電」が認められた農地で行われる田植え作業=長野県茅野市(帯川恵輔さん提供)
〔写真説明〕「営農型太陽光発電」が認められた農地で行われる稲刈り作業=長野県茅野市(帯川恵輔さん提供)
2026年08月22日 07時04分