「のれん」処理、見直し始動=企業買収巡り、償却ルールは維持



企業がM&A(合併・買収)を行った際に発生する無形の資産「のれん」について、会計処理方法の見直しに向けた議論が本格始動する。20年以内に規則的に処理するよう定めた現行ルールは維持するが、その間利益が減ることなどを問題視する声も根強く、影響を緩和する方策を検討する。

のれんは買収価格と買収先企業の純資産の差額で、ブランド力などの「目に見えない価値」に相当する。日本基準の会計処理では、一定期間中に帳簿上の額を毎年規則的に引き下げ、その分を費用計上する「償却」を行う必要がある。だが、償却費は利益を圧迫するため、国際会計基準に倣って、定期償却せずに価値が落ちたと判断した際に損失計上する仕組みを求める意見が出ていた。

見直し機運が盛り上がったのは、政府が昨年5月にまとめた規制改革推進会議の答申がきっかけ。スタートアップ(新興企業)の償却負担が重いなどとして、「会計処理の在り方について検討が行われる必要がある」と指摘した。経済同友会からも、定期償却をしない「非償却」の導入を求める声が上がった。

これを受け、日本の会計基準の整備を担う財務会計基準機構(FASF)が議論に着手。今年8月に改善点を提言し、傘下の委員会が見直しを検討することになった。

具体的には、償却負担が短期間に集中しないよう一定の基準を設けるほか、買収先が利益に貢献するようになってから償却を開始できるようにする案などを検討する。日本基準以外の企業と業績を比べやすくするため、償却前の営業利益の開示を求めるかどうかも議論し、今後1~2年程度で結論を出す見込みだ。

一方、現行の定期償却ルールは維持することが決まった。業績悪化時に多額の損失を計上せずに済むなどの利点があり、FASFは「現行モデルを変更する説得力のある論拠がなかった」と判断した。大和総研の藤野大輝研究員は償却の維持を「妥当な結論」とした上で、償却方法を現状よりも明確化すれば「会計基準を抜本的に見直さずとも、短期間で一定の効果が見込めるのでは」と指摘している。

【時事通信社】

2026年08月22日 07時03分

economy


関連記事

政治・行政ニュース

社会・経済ニュース

スポーツニュース