
米国による国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長への制裁や、プーチン・ロシア大統領の北方領土訪問を巡り、政権の対応は「弱腰」だとの批判が出ている。ICC問題では唯一の同盟国に気兼ねして非難や抗議をせず、高市早苗首相が「残念」と言及しただけ。対ロ外交でもエネルギー供給への影響を懸念して、対抗措置を打ち出せずにいるためだ。
自民党本部で21日開かれた外交部会などの合同会議。出席者からは「米国に制裁撤回を求めるべきだ」「赤根氏を守らないといけない」と政府への不満が続出した。
「法の支配」を重視する日本は、ICC分担金の最大拠出国。首相は1月、日本人初の所長を務める赤根氏と首相官邸で会談し「力強い支援」を約束した経緯がある。
だが、19日早朝に赤根氏が制裁対象に指定されたとの報道が駆け巡っても、政府の動きは鈍かった。首相がようやく口を開いたのは午後6時すぎ。「大変残念に思っている」と述べ、ICCへの支援や米国への抗議は一切口にしなかった。欧州各国が赤根氏らへの支持を続々と表明したのとは対照的だ。
閣僚経験者は「首相の発信は全然足りない」と指摘。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのカラマール事務総長はX(旧ツイッター)で、日本政府の発信について「かなり弱い」と嘆いた。
プーチン氏の北方領土訪問では、首相は「中長期的な関係回復を困難にした」と即座に反発。外務省は駐日大使を呼んで抗議した。
政府は「次の一手」として経済制裁の強化や武藤顕駐ロ大使の一時帰国を選択肢として検討するが、1週間が経過しても対応は定まらない。ロシア・サハリンからの液化天然ガス(LNG)輸入に影響を及ぼしかねないためだ。政府内からは「エネルギー問題は考慮せざるを得ない」との声が上がる。
茂木敏充外相は20日の記者会見で、対抗策について問われ「日本の国益にとって何が必要か総合的に勘案しながら適切に対応する」。木原稔官房長官も記者団に「政府内で検討している」と述べるにとどめた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は18日の会見で「政権の姿勢は弱腰に過ぎる」と断じた。
【時事通信社】
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=21日午前、東京・永田町
〔写真説明〕自民党本部で開かれた同党の外交部会・外交調査会合同会議=21日午前、東京・永田町の同党本部
2026年08月22日 07時02分