銃後に広がる戦禍、市民犠牲に=米仲介も対ロ和平見通せず―ウクライナ侵攻4年半



ロシアのウクライナ侵攻が始まって24日で4年半。前線でこう着状態が続く中、双方がミサイルや無人機による長距離攻撃を激化させ、戦禍は銃後で暮らす市民に広がる。トランプ米政権は再び仲介に乗り出す構えだが、ロシアは強硬な立場を崩しておらず、和平は見通せない情勢だ。

◇増え続ける死者数

激しい交戦は今も続く。英BBC放送などは21日、これまでロシア側で少なくとも約24万人が戦死したと報道。今年2月時点で約20万人だったが、半年で約4万人増えた。数字は氏名が確認された分で、実際ははるかに多いとみられる。

米シンクタンクの戦争研究所は、ロシア軍が今年春・夏の攻勢で「重要な戦果を挙げられていない」と分析。進軍が滞る中、ウクライナの首都キーウなど後方への攻撃を強め、国連機関によれば7月だけで少なくとも437人の民間人が犠牲となった。月間の死者数としては2022年5月以降で最多という。

一方、ウクライナ側はプーチン政権に戦闘終結を促すための「40日作戦」と称して各地の製油所を連日攻撃し、ガソリン不足がロシア全土に波及。民間施設の通販大手ワイルドベリーズの倉庫も狙い撃ちにし、損失は最大8000億ルーブル(約1兆5000億円)に上るとの推計もある。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は外国メディアに「軍用品などの3割がワイルドベリーズで売買されている」として正当な攻撃だと説明。「ロシア人に戦争の現実を実感させるため」とも述べ、厭戦(えんせん)気分を醸成する狙いもあると語った。

◇ロシア譲歩なしか

米国はイランへの対応でウクライナ和平への関与を事実上停止していたが、仲介再開の動きも見られる。7月下旬、ルビオ米国務長官はロシアのラブロフ外相との会談後、「無意味な戦争の終結のため建設的な役割を果たす用意がある」と発言。トランプ大統領もウクライナのゼレンスキー大統領との会談で、ウィトコフ米中東担当特使らのキーウ初訪問で合意したと伝えられる。

しかし、仮に和平交渉が再開してもロシア側が譲歩する公算は小さい。ラブロフ氏は今月14日に公開されたインタビューで、ゼレンスキー政権を「ナチス」と決め付けた上で「今前線で立ち止まれば(第2次大戦の独ソ戦で)ナチズムに勝利した祖父らの偉業が帳消しになる」と主張。要求が満たされるまで戦闘を続けると強調した。

ウクライナ国防省情報総局の高官は自国メディアに対し、プーチン政権が停戦に応じる兆候は一切ないと指摘。侵攻の早期終結に否定的な見方を示した。

【時事通信社】 〔写真説明〕ロシアの攻撃で発生した火災の消火活動に当たる消防隊員ら=8月16日、キーウ(AFP時事) 〔写真説明〕ロシアのミサイル攻撃で破壊された住宅を見詰める住民ら=7月30日、ウクライナ西部リビウ(AFP時事)

2026年08月24日 07時05分


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