
日銀の野口旭審議委員は27日、大分市で講演し、今後の金融政策運営について「政策金利の拙速な引き上げは賃金上昇のモメンタム(勢い)を失わせ、2%(物価)目標の達成を遠ざけてしまうリスクをはらんでいる」との認識を示した。「政策調整のペースは早過ぎても遅過ぎても問題が生じる」とも語り、利上げの時期を慎重に見極める姿勢を強調した。
野口氏は、賃上げの流れが続く中で、「賃金と物価が相互に参照しつつ上昇し続けるという、物価の基調的な上昇のメカニズムも徐々に強まっている」と説明。一方で、「インフレ期待が2%近傍でアンカー(つなぎ留め)されるようになるには、まだ時間が必要」とも指摘し、経済・物価情勢を引き続き点検する考えを明らかにした。
〔写真説明〕野口旭・日銀審議委員=9月19日、東京都内
2025年11月27日 13時02分