米バークシャーに新時代=バフェット氏CEO退任で―後継者、投資の手腕未知数



【ニューヨーク時事】米投資会社バークシャー・ハサウェイが重大な岐路に立っている。「投資の神様」と称されるウォーレン・バフェット氏(95)が2025年末に経営の第一線から退き、グレッグ・アベル副会長(63)が26年1月、最高経営責任者(CEO)に昇格。バークシャーの新時代が幕を開ける中、米金融市場では投資手腕が未知数のアベル氏への不安がくすぶったままだ。

去就が常に注目の的だったバフェット氏は25年5月、アベル氏を正式に後継指名した。会長職は続投。「引退宣言」はある程度予想されていたが、投資家の間では屋台骨を失うことに警戒感が広がり、株価下落は夏場まで続いた。

「トップ交代はリスク」。米投資銀行KBWは10月、バークシャー株の売りを推奨するリポートを公表した。これを受けて投資家の不安が再燃し、株価回復の勢いがそがれる結果となった。

アベル氏はエネルギー分野に精通する一方、投資経験が豊富ではないため「バフェット氏の代わりは務まらない」(株主)との厳しい見方もある。こうした中、バフェット氏は11月、株主がアベル氏のかじ取りに慣れるまで「相当な量のバークシャー株の保有を続ける」と宣言。一定の関与を続けることで投資家に安心感を与えたい考えをにじませた。

バークシャーはトランプ米政権の高関税政策などを考慮し、投資に慎重姿勢を貫いたため、手元資金は3817億ドル(約60兆円)と過去最高を更新した。経営の大きな転機を控え、IT大手グーグルの親会社アルファベットの株を取得するなど、積極投資に動く兆しは見えつつある。アベル氏が明快なメッセージを出し、株主の信頼を得られるか。バークシャーは正念場の年を迎える。

〔写真説明〕米投資会社バークシャー・ハサウェイの最高経営責任者(CEO)を務めてきた米著名投資家ウォーレン・バフェット氏=2019年5月4日、米ネブラスカ州オマハ(AFP時事)

2025年12月27日 19時03分


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